料理人への憧れ

数多ある職業の中で特に憧れを抱くのは料理人です。そりゃ間違いなくモテるでしょ。
って、やれやれな理由だな。いやいや、憧れの本質は感動のスピード感です。
口に入れた瞬間、「おいしい」と褒めてもらえる速さを持った仕事って
他になかなかないと思うんです。
僕の生業は原稿書きですけど、文章の一口はとても時間がかかるわけです。
オチのための伏線や、意味を芽吹かせる布石を設ける工夫を凝らして上で
最後まで読んでもらわなければ本当の味が伝わりません。
それって、読む人にしたら煩わしいんじゃないかと、いつも心配になります。
最初の一行目で食いつかせる文章力があれば、そんな不安は解消されるんだろうけど。
でもとにかく、「さぁどうぞ」「うわ美味しい」のキャッチボールの速さは、
やはり永遠に憧れ続けるでしょう。ただし、評価が瞬時に下されるということは、
不味かったときの怖さも倍増するんだろうね。
そんなわけで、新しい鍋を買いました。だから一体どんなわけ? 
まぁ、鍋ってのは料理をするための道具ですから、要するに何かをつくるつもりが
あるんですけど、自分でこさえた料理の良し悪しを判断するのは難しいですね。
原稿書きもそうですけど、瞬時の判断にビビりながら人に食べてもらうのが
上達の近道なんでしょうね。
読まれない文章。食べてもらえない料理。それはこの世でもっともさびしい存在です