うまく説明できない法則を当てはめる。

「現実に生じている事象に合わせて、うまく説明できる法則を当てはめている」
この一節、琴線に触れました。これは、川上和人さんという鳥類学者が
島に着目して生物の進化を語った『そもそも島に進化あり』という本の抜き書きです。
おそらく実際は非常に難解なテーマを、ところどころふざけた記述を交えながら、
できるだけかみ砕こうという心掛けに存外心を打たれました。
冒頭の一節は、進化の過程を説明する学者に、つまり著者本人に向けた戒めです。
「それを非難するのは粋ではない」と続くところが本書のキモですが、
その先では、「我々はあくまでも、進化の結果として生じた事象を解釈する機会を
与えられただけ」と記されます。これもまた、限界あるいは立場をわきまえた、
学者としての覚悟を感じる一節です。
日常の中で起こることに対しても、僕らは自分の経験や理解の範ちゅう、
はたまた感情の特性で判断しがちです。要はご都合主義。
たとえば突然の出来事に対して、まず沸き上がったのが怒りだとしたら、
その気持ちを肯定する要素ばかりが次々に思い出されるでしょ。
そして、どう考えてもおかしい。相手が間違っているという結論に達する。
でも本当にそれだけなのか? 怒りと対極の感情はどこにもないのか? 
などと自省を伴いつつ考え直す事象が僕にもつい最近起きました。
時間が必要ですね。うまく説明できる範囲から抜け出すには。
そうしてようやく、怒り以外の要素を見つけることができた。
となると、現実に生じた事象に合わせて、うまく説明できない法則を当てはめたほうが
一歩先に進めるってことか? うまく説明できない法則なんて当てはめられるのか? 
やっぱりこの本は存外に深いんだ。読み手の受け取り方の問題かもしれないけど。