それぞれの

僕が人の話を聞くときは、相手の言葉を青のボールペンでノートに書き落とします。
「レコーダーを使わないって珍しいですね」などと言われることもしばしばです。
確かにレコーダーで録音し(なぜかいまだに)テープ起こしと呼ばれる作業をすれば、
相手の言葉を一字一句正確に再現できます。
でも、単純な再現が重要なら僕に出番はありません。この辺とても微妙な領域ですが、
僕が提出すべきは議事録ではなく、話を聞かせてもらった相手が
もっとも伝えたい思いを築き上げる物語だと思っています。
それを形にする上で、僕の場合は手書きがしっくりくるだけです。
思想でもこだわりでもなく。手首の関節炎という犠牲を伴うのはなかなかですけど。
そんなこんなで昨日の取材もいつも通りのスタイルで行っていると、
目の端のほうでスマホを叩く指がチラチラ。担当編集者の所作です。
こっちは仕事中なのにそっちはスマホかよ、とは思いません。役目はそれぞれです。
さらにインタビューを続けていると、今度は右隣に座っていたアシスタントも
スマホを叩き出した。ふと会話が途切れたところで彼女たちのスマホをのぞいたら、
僕と同じように相手の話をメモっていたのです。指1本で追いつくとは驚いた! 
PCで会話をメモする光景は何度も遭遇したけれど、スマホとはねぇ。
手書きは僕の単純なスタイルと思ってきたけれど、もはや世代的なスタイルなのか。
そう考えたら急に眠気に襲われました。
それぞれと言えばそれぞれの領域なんだろうけどね。