先が長い細い路地

引っ越しに関してあれこれ書きましたが、実は同じ町内で徒歩15分足らずという
超至近距離移動なのでした。なので、馴染みのコーヒー屋さんにも軽々通えます。
っていうか、そうして仲良くなったお店から離れたくない気持ちもあったのですよ。
昨日、そのコーヒー屋さんに行きました。線路沿いの細い路地に面していて、
店の前には木製ベンチが据えてあります。そこで飲むのが気分よく、
昨日もそうしていたら、ゆっくり歩いてきたおばあちゃんが静かに腰かけました。
「この路地は先が長いですから、ゆっくりしていってくださいね」と店長。
コーヒーなどいかがですかと決して言わないところが好感度120%。
「ああ、すいません。何しろ独り暮らしでねぇ」
人生の先輩のご発言というのは、センテンスが自由に入り乱れます。僕の母親も同じ。
若輩者がそれについて問い質すなどもってのほかです。
しばらく座っていたおばあちゃんは、「あ、財布を忘れてきちゃった」とつぶやき、
まるで朝日が地平線から剥がれるのを惜しむようにゆっくり立ち上がり、
来たほうに向かって歩き出しました。人は歳を重ねると、自然とO脚になります。
母親も同じです。
どなたであってもそんな背中を眺める機会に触れるたび、
なぜか申し訳ない気持ちになってしまいます。

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。今日は5ポケットのお話。