昔はよかった

年齢を重ねるほど口にしたくないセリフのひとつが、「昔はよかった」
でも、よかったことなら何度繰り返したっていいのかもしれません。
「売れなくなった。特に地方の小売店は」ある洋服屋さんからそう聞きました。
最大の理由は、やはりネット通販。型、色、サイズで気に入ったものがあれば、
わざわざ店まで買いに行かなくてもいい。そうだよなあ。
僕にしても、服はさておき日用品の類ならネットを利用するもんなあ。
CDやDVD、時には手に入りにくい本も通販だ。
ただ趣味性の強いものは、やはり専門店に行き、店員さんの話を聞きたいです。
手間はかかります。でも、お目当てのとなりに並んでいた予測しなかったものと
出会たりするじゃないですか。僕はそれをオマケと呼びますが、
場合によってはオマケが気に入ったりもしますよね。
「オマケを必要としない人間が増えてんだよ。欲しいもの以外はもらっても
対処に困るんだ。むしろオマケを楽しんできた世代には理解し難いが」
先の方の言葉です。そんな時代には、やはりどうしたって口ごもりますよね。
でもね、たとえば意味を知りたい言葉を辞書の中で探すとき、
その言葉の左右や上下に載っていたお目当てじゃない語句に、
不意を突かれるような興味を覚えたことってあるでしょ。
何でもピンポイントの時代にあっては無駄な道草にすぎないかもしれないけど、
遠回りしたからこそ気付けた人生の深みみたいなものは、
世界の果てまでネットが伸びようと、今も昔もあると思う。
要するに興味の持ちようです。もしやネットは情報過多を装いながら
興味を喪失させる装置なのか? だとしたらつまらないなあ。
昔はよかったこと、たくさんあるのになあ。
江戸時代の人にしたら、こっちはもっとあったぞと言われるかな。

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。日本展示会の報告です。