向こうは覚えている

ある現場でゲストが到着するまでの間、後輩(と言っても僕にその意識は
ありませんが、同職の、という意味合いでそう呼ぶことにします)が
突然切り出しました。「駆け出しの頃、トナオさんにこんなことを言われた」。
彼女はかつて連載を持たせてもらった雑誌の担当編集者でもありました。
いやしかし、何がきっかけかわからないけれど、
いきなり昔話をされるとドキドキします。もはや10年近く経っても
なお思い出せるなんて、僕は彼女に何を言ったんだろう? ああ、ドキドキ。
飛び出したのは他愛もないことでした。そうでもないか。
意外にいいこと言ってたみたい。ちょっと、いや、かなりホッとしましたね。
この件のキモは、こちらはほとんど何も記憶していないのに
向こうはちゃんと覚えていることです。そしてまた覚えていられても、
それが相手を傷つけた内容だったら、
話した当人には言わない可能性が高いということです。
片方だけが覚えているケースは、おそらく立場や年齢が下の人間に顕著でしょう。
上からの言葉は、それだけで力を持つということでしょうか。
発言に注意しなくちゃ。でも、今となっては後輩ばかりなんだよなあ。
良き指導者になれるタイプではないので、背中で語ろう。結果で示そう。
これって逃げなのかしら。