できることがあるとすれば

よく行く飲み屋さんが2軒目を出店。1軒目のオープンから5年目という
区切りの良さをきっかけにしたそうです。
聞くところによると飲食店経営というのは多店舗化が定石だそうですね。
「そうなの?」と新店舗を出すオーナー兼シェフにたずねたら、
「そのつもりです」と答えました。
決して嫌味ではなく、30代半ばなのにしっかりしてるなあと。
いや、30代半ばとなれば当然の成長かもしれませんね。
「でも、すごく怖いです」とも言います。僕は飲食店のことも経営のことも
よくわからないけれど、おそらく1軒が2軒になるのは
単純なワン・バイ・ワンではないのでしょう。効果としては総合的かつ相乗的に
3倍や4倍を目論むはず。でも、手間もまた2倍ではすまないかもしれず、
下手をすると多店舗化の土台たるべき最初の1軒目が危うくなるかもしれない。
そりゃ怖いよね。悲観的じゃ前に進めないけれど、楽観的になり切れもしない。
僕にも似たような経験があります。2誌の編集長を兼ねよと指示されたとき、
新しい挑戦と意欲を見せたものの、
最大の心配事は1誌目への愛情が薄れることでした。
感情を持ち出すのはプロじゃないと思ったりもして、なかなかの葛藤でした。
唯一の救いは、経営者ではなかったことです。
だからある程度は経営者の意図を理解しながら、対立構造的に文句が言えた。
その二つの側面を自分の中に収めるのはかなり大変です。
僕にはついにできなかった。その点では、恐怖に立ち向かって
2軒目を出す若きオーナーの気持ちは理解しきれないでしょう。
できることがあるとすれば、足繁く通う他にないだろうな。2軒ともね。
さぁ、飲んだくれよう。ここが然るべきタイミングだ!

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。ヘラクレスまたはハーキュリーのお話。