切ない花

僕らがこの時期に愛でる桜、すなわちソメイヨシノは、
ご存知のように1本の木から生まれたクローンです。
全国どこに植えられているものも皆DNAは同じ。
だから一定の条件を満たせば秒針まで狂わず花を咲かせます。
そしてまたソメイヨシノはほとんど実をつけません。
実をつけたとしても、同一クローンの花粉では
子孫を残せない原則があるらしく、ゆえにソメイヨシノは
それぞれ独立した子や孫を持つことができない。
すべては人間がその咲きっぷりを楽しむためにつくられた人工的な植物です。
どんな気持ちだろうと思うんですね。
ある種機械的に咲き、その下に群がる人間たちを見下ろすのって。
聞いてみたい気もしますが、
何しろクローンだから皆同じ声で一斉に叫ばれたら、
それはかなり怖いのではないかと思います。
無粋な話ですか? 
僕は僕なりに、この花の運命的な切なさに愛おしさを感じているのですが。