取材にご用心

小さいけれど素敵なお店を一人で切り盛りしている知り合いの女性が
取材されるんだそうです。30歳前後をターゲットにした女性誌で、
その年代の女性が独立して働くことに希望を持たせる企画らしいんですね。
ふむふむ。となると彼女は適任かもね。しかしご本人は、
「偶然その前を通りかかった店舗が半年後に空くというので
開業を考えただけで、希望通りのお話ができるかしら」
といくらか困惑しておりました。
さらには、普段持ち歩いている品も見せてほしいとのこと。
その辺あたりから編集者の魂胆が見えてきました。ありがちな作戦です。
人物像をわかりやすく、いささか意地悪な言い方をすれば
手軽に伝えるため、普段使いの持ち物を紹介するというのは常套手段です。
しかし、企画の主旨からはずれているわけです。そんなものでごまかさずとも
真っ向から向き合い、その人のことを丁寧に紹介すればいい。
僕もまた取材する側なので、編集者の考えが理解できなくはないけれど、
やっぱり予定調和はおもしろくありません。おそらく読者にしても同じはずで、
聞き手自体がワクワクするような記事でなければ読みたくないはずです。
そしてまた常に思うのは、話を聞かれる方にとっても
ワクワクするような取材を心掛けること。
「オシャレな物なんて持ってないんだけどなあ」と彼女が困ったように、
話を聞かれる側には普段使い以外のプレッシャーがかかるのだから。
もしあなたが何かの機会に取材を受けるとしたら、
よくよく考えて返事をしてください。メリット・デメリット双方あり。
編集者や記者が頼りなかったら、そりゃもう......。
なんてことを言うと業界では嫌われます。なので、ここだけの話ということで。

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