毒されてんのかな

独り暮らしのご老人にこんな話を聞きました。ご自宅の流しで水漏れ。
古い家なので何度か点検してもらっていたのに、
突然ドバッと水があふれ出たそうな。こりゃいかんとご老人、
点検に来てくれた業者の携帯電話にかけてピンチを伝えました。
業者の会社ではなく個人に連絡したのは、
「何か困ったことがあればいつでもかけて。
この電話番号なら僕がすぐに駆けつけられるから」と
訪問点検をしてくれた人が前にそう話してくれたから。
今時いい人だなあと感心しました。その人はすぐに来てくれたそうです。
簡単な作業で直ったのか、修理代はいらないと固辞。
「それじゃこっちの気がすまないからと5千円渡したの。
帰りに食事でもしてくれって。いや、別にいいの。点検に来てくれるたび、
ほんのわずかだけど心付けしていたからね」。昔の人ってそうだよなあと、
もう一度感心しようとした僕の胸の中に薄雲が広がりました。
その水道修理の人、信用していいのだろうか? 
などと浅はかな想像をめぐらす自分をさもしいと思います。
本当はごくシンプルに親切な人かもしれないのに。
でも、人の優しさにつけこんで平然と騙す輩は後を絶たないどころか
増えているのが今時です。だからいささか心配なのだけど、
そのご老人に疑ってかかれと言うのも気が引けます。毒されてんのかな、オレ。
いずれにせよ、しっかり生きてきた人を悲しませるような、
あるいは未来しかない子供たちが傷つけられようなニュースを目にすると、
暗澹たる気分になります。何かできることがあればいいのだけど。