すべてがバリアになり得る

取材中に予期せぬトラブルが起こることはままあります。
ただ、ゲストを撮影している最中にカメラマンがぎっくり腰になるのは、
僕のキャリアの中で初めてかもしれない。立てなくなっちゃうんですね。
だからキャスター付きの椅子に座って何とか移動して、
ひとまず撮影は無事に終えました。さすがプロよね。
問題はそこからです。撮影機材を片付けて彼のクルマに積むまではOK。
でも、運転できるのか? 救急車を呼んじゃったほうが早いのか? 
あれこれ協議した結果、ひとまず彼のクルマを僕が運転し自宅に送り届け、
しばらく安静にしたほうがいいだろうということになりました。
いやしかし、立てないというのは大変です。
一人で助手席に座ることもままならない。ということは助手席から降りることも
クルマを止めた路地から自宅の扉までわずか10mの距離も
一人では何もできないわけです。そこで気付きました。
歩けないというただそれだけであらゆる場面が一変する事実に。
クルマのシートも路地も家の扉も玄関の上がり框もすべてバリアになり得る。
ぎっくり腰の当事者じゃないにせよ、これは怖いことだなあと。
それにしても僕より背が高い上に、結婚後に幸せ脂肪を蓄えた彼は重かった。
その体を支えるため密着していた僕ら二人の姿を見た人はどう思っただろう。
さておき、翌日になって当人から電話がありました。
少しはよくなったそうですが、まだ仕事には戻れそうにないとのこと。
実はぎっくり腰になる前日、彼は生まれて初めて父親になったのでした。
あれこれ笑い話になるといいけど。