誰かの人財に

例によって僕のオンボロ君は、今が働き時なのにクーラーから冷風が出ません。
専用のガスが漏れてしまうからです。一度本格的に修理したんだけど、
間抜けの本性までは直りませんでした。まぁ仕方ない。
非効率だけど、ガスを充てんすればいいだけの話だから。
ちなみにエアコンではなく、クーラーです。自慢にもなりませんが。
そのガスを注ぎ足してもらうためにいつものクルマ屋さんに電話したら、
「引っ越したよ」と言われました。昨年の11月のことだったそうな。
半年経っても知らなかったということは、僕のオンボロ君はその間で
問題を抱えなかったということ。優秀優秀。
それにしても、もう少しで土に還りそうなジャガーや、物が積まれて車種が
不明なアメ車や、裸のエンジンやトランスミッションがそこら中
ごろごろしていたガレージの引っ越しは相当に大変だったはずです。
ほぼ一人でやっているから整理する暇はないんだろうな。
そしてまた半年過ぎた新しい場所も、すでに前のガレージとよく似た景色に
なっていました。性格、なんだろうな。僕は落ち着くけれど。
そういう、およそどんなクルマでも応じてくれる個人経営のクルマ屋さんは
どんどん少なくなっていきます。相変わらず労働環境は厳しめだし、
クルマ離れと言われる現在では顧客も増えません。
だから、一人でやっていけるならと腹を括らなければ続かないでしょう。
要するに個人経営の覚悟です。とても重要なのは、そういう奇特な人がいないと
安心してオンボロ君に乗れない僕のような人が
いまだ少なからずいることです。彼らは大事にすべき人財です。
翻って顧みて、同じ個人経営者として僕は誰かの人財になれているだろうか? 
深く考えると怖くなってくるので、今日のところは思考を止めます。

オオフチさんの『NYほかけ舟』更新。展示会前恒例の混迷リポート。