スランプという幻のモンスター

スランプを感じたことがありますか? 
僕は先週末あたり、そのようなものにまとわりつかれました。
でも、時に経験値の高い大人が
「スランプとは超一流選手にだけ起こるもの」と指摘します。
そう言われちゃうと僕なんか、ふ~むと唸ってしまうわけです。
そこで再調査しました。何を書いても思い通りにまとまらなかった
僕のそれはスランプなのか? 
書きながら気づいていたのは、ただの事実の羅列だったこと。
しかも、多くの事柄を盛り込もうとしたこと。
そして明確なオチの手応えを感じないまま書き進めていたこと。
そういう誤った航海はこれまで何度も経験してきたはずだし、
海路を読み間違えたならもっとも近い港で停泊するのが賢明な判断。
つまりはやり直すべきだった。なのに磁場の狂った海域に漂ったのは、
締め切りまで余裕があったからです。
そのせいで一度書いたものに固執する時間を生み出し、
それを取り消す判断力も集中力も欠いてしまった。
行けるだろう、書けるだろう。しかし行けない、書けない。
そんな焦りがスランプだとしたら、海の真ん中で遭遇した大波を
恐怖のあまり海中のモンスターと思い込むような、
まったくもって滑稽な状態という他にないかもしれません。
何しろ僕のそれは、自分自身ですべて原因が見出せてしまったのだから。
しかし、超一流選手にしか起きないのがスランプだとしたら、
それはどれほどの大波なんだろう。
まさか誰も見たことがない本物のモンスターだったりして......。

オオフチさんの『NYほかけ舟』。展示会で発表した新作の紹介です。