恋と同じ

「なかなか最後まで本が読めない」と僕に話す方がけっこう多いんです。
困ってしまいます。健康器具のように1日5分励むだけで
最後まで本を読める方法があればいいのだけど、僕は知りません。
そして何より、文字を書く仕事していながら熱心な読書家ではないので、
そう話されると恥ずかしくなってしまいます。
だからこう答えることにしています。
「最後まで読めないと思ったら早めに表紙を閉じたほうがいい。
そうして物色しているうちに、最後まで読みたくなる本が必ず現れる」
これは僕の実体験です。今もそうです。
おもしろそうだと思ったのに何か違ったと感じたら早々にあきらめ、
次の本に手を伸ばす。でないと時間がもったいないでしょ。
そもそも1冊の本を最後まで読むにはそれ相応の忍耐が必要です。
なんてことを書き手の自分が言うのは自ら首を絞める行為そのものですが。
でもね、あるんだな。他のことを一切遠ざけたくなるほど読みたくなる本が。
あるいは最後の1ページに近づくほどさびしく感じる1冊が。
まぁ、恋と同じ。
だとすれば、熱心な読書家は恋多き人々ということになるな。
そんなこんなで、ここでは本を例に挙げていますが、
他のものでも同じ理屈が当てはまるはずです。
「好きこそものの上手なれ」
それがもっとも幸福な関係性だと思うのですが、いかがでしょ。