テレビの話です。4月1日から始まった朝ドラ『虎に翼』、興味深く追いかけています。いろいろ褒めたいのだけど、中でもタイトルバックは特にカッコいい。
今回のドラマは、「日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ、一人の女性の実話に基づくオリジナルストーリー」だそうです。そんなわけで放送開始から2週間の主人公は、当時(というのはこの国の戦前)の法律が定めた女性の権利や立場の著しい低さに憤慨し、改めて法律を学ぶ決意を高めました。
そうした清々しい奮起と、その先に待ち受ける幾多の失望を乗り越えていく女性の姿を描くのは、朝ドラが得意とするところです。別の言い方を用いれば弱者の物語でもあって、では誰が女性たちを虐げたかと言えば、およそ男性または男性が築いた社会です。それを男の僕が、かなり繊細な感性で眺めると、「どの面下げて見るんだ?」といった疑問符が浮かぶのを看過できなくなるのです。
そんな感性を付加されたのは、企業関係の仕事でダイバーシティに触れたとき、こんな意見を耳にしたからでした。
「この世界で異性愛者の男性は、無自覚のうちに既得権益を行使している」
ショックでした。まさに無自覚だったから。けれど現在の社会を改めて見渡すと、性の違いによる損得差は依然として確実に存在している。だからおそらく今もって、不公平に立ち向かう女性の物語が支持されるのでしょう。この世界にはまだ彼女たちのようなヒーローが必要という共感とともに。
となれば、ぬくぬくと既得権益に守られてきた男性にとって朝ドラは、まず史実を直視し、未来を変えるための反省材料とすべきなのでしょうか。いや、そこまで大袈裟に考えなくてもいいですよね。不幸な時代を二度と招かないため、現代を生きるすべての人が力を合わせてドラマをつくればいい。
そしてまた、無自覚な男性の僕の中にも、この社会の在り様を嘆く自分がいます。そんな弱者の僕が、朝ドラの主人公を応援してもいいだろうと、そう思ったりもします。
朝から面倒臭いこと考えるもんだと呆れますか? 実は、僕の朝ドラは基本的に録画鑑賞ゆえ、寝しなに一気見したりするので、例によってどうでもよさそうな思考が働く対象になりやすいんですね。今回の『虎に翼』は、そういう対象になり得ていることがお伝えできればと思った次第です。

まだ桜も咲いているのに鯉のぼりなんだなあと。
