少し前、「フェンダーがストラトキャスターの著作権保護に関する重要判決を獲得」したというニュースを目にして、ギター好きの心がざわつきました。
ギター好きではない方にご説明すると、ストラトキャスターは、アメリカ発のフェンダー社が1954年からつくり続けているエレキギターです。独特なボディ形状は、エレキギターを代表するデザインとして歴史的に認知されてきました。
さておき「ストラトキャスターの著作権保護獲得」で重要なのは、この判決が確定すると、少なくともEU圏内ではストラトキャスターを真似たギターの生産・販売ができなくなること。具体的には、コピーを市場に送り出していた中国企業への対抗策だそうです。
ある解説によると、大量生産される実用品のデザインは、25年の期間を有する意匠権で保護され、著作権は著作者の死後70年まで保護されるのが一般的らしいんですね。対してストラトキャスターのデザインは、いずれの保護期間からも抜けているので、ドイツの裁判所の判断が全世界にどれほど波及するかは今のところ不明だとか。ふむ。
この件に関して頭を駆け巡ったのは、対照的な二つの考えでした。ひとつは、もちろん権利は大事ということ。必死で生み出したオリジナルをコピーして商売されたらたまったもんじゃないですよね。
もうひとつは、「今さら?」という気分的なものです。実は、僕が初めて買ったエレキギターも、オリジナルより安価な国産メーカーの“ストラト・モデル”でした。たぶん今でもそういう呼び方が通例のはず。でもって初めてのエレキだったから、ある程度の満足が得られたわけです。
しかし、どこまで行っても本物じゃないことは自分自身がいちばんわかっている。そこに後ろめたさのようなものを感じたなら、本物をつかまえればいい。そうして僕は後にフェンダーのストラトキャスターを手に入れました。少なくとも僕らが若い頃にはそういうステップがあって、だからこそ「いつか必ず!」といった憧れを抱くことができたのです。
だから本物は何にも動じないでいてほしい。様々な権利の保護期間が過ぎているのだからなおさらじゃないかと。
いやまぁ、嘘も重ねれば実になる例はあるだろうから、適切な線引きは不可欠なのでしょう。いずれにしてもこの件は、ギター好きとして複雑な思いで受け止めています。ただ、僕らが惹かれているのは、裁判で争う権利とは別のところにある本物のプライドだと、それだけは言っておきたいです。これもおそらく裁判では無効の気分的な発言ですが。

エレベーターのカゴの、外側の天井。ここまで見せなくてもいいかなあと思って。









