ちっちゃいゴジラ

3年ぶりに動画のお仕事の依頼がありました。カメラの前に立って何かを説明するわけですが、人前でギターを弾くほどには緊張しません。それなりの経験があるからです。
21世紀になる直前にテレビ番組の企画書をつくり、つくったことすら忘れて迎えた21世紀最初の年、縁あって自分がMCを務める番組が始まりました。12年も継続したことが、今となっては懐かしいです。
動画の仕事でさして緊張しないのは、自分の見た目を諦めているところもあるからだと思います。そりゃ、スケベ心はありますよ。少しはマシに見えたらいいなあという。でも、いくら待ってもルックスを褒められる機会が訪れなければ、そういうことねと自覚したほうが気楽です。だからと言って、どうでもいいやと自暴自棄になるのはむしろカッコ悪いから、せめて人様を不快にしない程度の身なりと謙虚な態度は保ちたいと、そう思いながら生きているわけです。
「いやいや、トナオさんは遠くからでもわかりますよ」
これは、口さがないというか気心が知れた、僕の髪を切ってくれる店長の言葉。何がきっかけだったかは忘れたけれど、常に大人しく目立たないよう心掛けていると言った僕に対する反論でした。当然、聞き返します。なぜ遠くからでもオレってわかるんだ?
「そりゃ背が高くて色が黒くて、おっかなそうに見える人なんて滅多にいないからですよ」
本当におっかなそうなら、君も言葉を選ぶんじゃないか? それに、身長は175センチしかない。
「ウソでしょ! 180センチは優に超えてるんじゃないですか?」
あと、確かに生まれつき肌は黒めだけど、この時期はまだ日焼けしてないから、むしろ白いと思っている。
「十分に黒いですよ」
そうだとしたら、オレって街中を歩くちっちゃいゴジラなのか?
「そうです、それそれ。ちっちゃいゴジラ、ウケる!」
そう言って彼女は、鋏を持つ手を止めてしばらく笑い転げました。
そんなもんですよ。自分が思う自分に反して、他人に見える自分は東宝映画の出来損ないに映るんです。だから、カメラの前に立って緊張するほどの期待を寄せてはいけない。こんなもんですがよければと晒す勇気をもたなければならない。
それにしても、ちっちゃいゴジラがそんなにハマるとは。一度くらい銀髪にしてもいいかなと思っていたけれど、それで今度はちっちゃいメカゴジラに見られるのも癪なので、この案は却下することにしました。

今回の動画でお付き合いしたのは、こんな顔。君もいかつい系だね。

 

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