聞かないほうがいい話

聞けない話はたくさんあるようです。たとえば会社内で、下位者は上位者に対してあれこれ気を遣わざるを得ないので、なかなか自由に話せないそうですね。ん? 最近は立場が逆転しているのかな? いずれにせよ上下関係は、組織の中や取引相手の間という、実際の距離にくらべてマインド的距離感が遠いのが常ですから、遠慮や忖度が生じやすいのかもしれません。
そんな中で上位者の意図の世間に伝えたいとき、重宝されるのが僕のような第三者です。仮に暴言を吐きまくって場を荒らしても、そもそも外部の人間なので減給も首にする手間も不要。そんなことはしないし、したこともありません。けれど、事前の申し送り事項で遠慮や忖度を求められるケースが無きにしも非ず。
そういう場合は、顏はわかった風を装いつつ、内心では「聞いちゃうぞぉ」と盛り上がります。そしてまた、実はランクの高い人ほど仕事上では孤独感が募っているので、むしろ突っ込んで聞いてほしいところがあるだろうと思っています。
そんな心情を知ったのは、ある会社の社長の独断で実行された定期的な取材でした。それが始まる前、僕からたずねたのです。内部で行えばコストがかからないのではないかと。そこで社長が「そうだ!」と気づいてしまえば、僕の新たな仕事は消滅します。ゆえに勇気を伴った発言だったかというと、そうでもありませんでした。僕にも相応に人を見る目があり、その社長の判断が揺るがないこと知っていたからです。現にその人は、僕にこう話しました。
「社員だと気を遣われて、聞いてほしいことを聞いてくれなくなるから」
それはたぶん、「社員だと気を遣って、話したいことが話せなくなるから」と同義なのだと思いました。上にも下にも、それぞれの慮りがあるのでしょう。
そんなこんなで第三者の僕は、企業案件がけっこう好きです。この間も下位に属する人たちから「そんな話、初めて聞いた」と言われました。僕としては普通に質問しただけですが、まぁ、うれしいですよね。ただし、上位者のインタビューで上手いことツボを突いてしまった場合、書いちゃいけないネタだらけになることがあります。だから遠慮や忖度によって聞かないほうがいい話もあるのかと、そんな現実に直面するたび、インタビューの難しさを思い知らされたりするのです。

今年初見の開桜桜。北風に吹かれていました。

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