家を建てるなら

風光明媚な場所でランニングしたい願望がゼロの僕が走るとすれば、自宅をスタート&ゴールにした住宅街を周回するしかありません。目新しさはないけれど、1年を通じてコース周辺の些細な変化に気づけるのは、それなりに楽しいものです。
中でも目を引くのが建築。これも、古い家屋が取り壊され、平地になり、そこに新しい家が建っていくという町の変化ですから、走る際の些細な楽しみになります。
そうした新築物件って、案外木造が多いみたいです。自然災害の凶暴さが取り沙汰されているので、懐かしい『三匹の子豚』を思い出せば、藁の家より木の家よりレンガの家のほうが安心できるんじゃないかと思うわけです。しかし地震大国の日本には当てはまらない常識というか、間違った認識なんだそうな。
他の材にくらべて軽量。これが木造建築のメリット。ある資料によると、木造の住宅を1とした場合、鉄骨造で1.5~2.5倍。鉄筋コンクリートで3倍の重さになるらしいんですね。地震が発生したときに建物にかかる力は建物の重さに比例するというので、ならば軽い木のほうが安全なのだと。硬そうなら堅牢というわけじゃないんだ。
材料が安価。断熱性の高さと調湿作用を有する点。そして増改築のしやすさも木造のメリットですって。対してデメリットは、天然素材ゆえばらつきが出ることと、白アリ対策が不可欠なこと。なるほど。
そうした説明を知らずに生きてきたのは、僕が自分の家を建てようとする経験を持たなかったからです。なぜ家を欲しがらなかったのだろう。これは我が人生最大の不思議でもあるな。
一方で、人様のお宅が出来上がっていく様子には多大な興味を覚えます。おそらく家を建てる人は、建築の様子を眺めながらどんな暮らしをしようか想像するのでしょう。けれどそこに住むはずもない僕は、無垢の木の柱の美しさに足を止めます。このままでもいいんじゃないかなあと勝手な思いを抱きながら。
そういうときって、「自分が家を建てるなら」という発展的な考えが浮かばないんですよね。生まれついての根無し草性か、キリギリス症候群の最たるものかもしれない。あるいは、もはや養育は無理と世間に出されて我が家を建てようとした、あの有名な豚の三兄弟の足元にも及ばない生活意識の低さが災いしているのかもしれません。

無垢の木材が組み合わさって構造物になっていく姿が好きなんです。

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