堪えきれず昨日の写真キャプションでもこぼしてしまいましたが、正月を迎えると無性に使いたくなる言葉が「恙なく」です。
「恙」の意味は、あらゆる災難。かつ、「恙虫」という人間の血を吸うケダニの総称でもあるそうなので、それさえいなければ災いがないと、そういう意味合いになります。ダニくらいで大袈裟なと思ったりしますが、昔の人はそいつのおかげで相当に苦しめられたんじゃないでしょうか。だから互いを気遣う挨拶にこんな言葉を用いたのだろうと推察します。
読み方は「つつがなく」。「が」を鼻濁音で発音すると、文字通り詰まる音の「つ」が連続する苦しい気分を一気に和らげて、全体的に優しい雰囲気を醸します。まるで苦難の先に幸があると祈るみたいに。
原稿書きが生業と威張ってみても、まだまだ知らない言葉が数多く存在し、知ってはいても使いこなせない単語がたくさんあります。「恙なく」は後者の代表例。個人的には広めたいのだけど、もはや日常会話的に死語扱いなので、文章の中にさりげなく落とし込んでも、必ず悪目立ちしちゃうんですよね。
だからせめて誰もが気を緩めている三が日の間に、大好きだけど切り出し難い単語をしれぇっと持ち出してみました。何と言うか、言葉の御節として。
皆様も恙なきお正月をお過ごしください。

無修正でお届けする、僕の町の元日の空。ほぼ雲なき青空でした。
