非常識的または反常識的

今年のジャイアンツに、アダム・ウォーカーというアメリカ出身の選手が加わりました。プロ野球の話ですが、まぁ聞いてください。彼の特徴をたずねられたら、まず外せないのはドレッドヘアです。細く結った幾束もの髪が帽子やヘルメットからゆさゆさ伸びる姿は、日本のプ野球界では少なく見積もっても奇抜の範疇に収まります。そのウォーカー外野手が打席に入ったところをたまたまテレビで観たら、ふむ、というシーンに遭遇しました。解説者がこう切り出したのです。
「髪に時間を取る暇があったら素振りの1本でもしてほしいですね」
このセリフの語尾に半ば被せるようにしてアナウンサーが「両立。両立です」。その後で奇妙な間があり、再び解説者が発言しました。「でも、最近は活躍していますよね」
ふむふむ。中畑さんの、って解説者の名前を出しちゃいましたが、そう言いたくなるお気持ちはわからなくもありません。そもそもジャイアンツには、「巨人軍は紳士たれ」という伝統的な球団則があり、髭がトレードマークだった実績ある選手が移籍する際にはキレイに剃ったりもしたんですね。中畑さんもジャイアンツ出身者だから、なぜこの髪型を許したのか、まずはそこが疑問だったと思うのです。それゆえアナウンサーをビビらせるような、今時は憚られる発言が口を突いて出ちゃったんじゃないでしょうか。「ヤバかったのか?」という戸惑いは、あの微妙な間から十分以上に感じ取れました。
ったく、面倒臭い世の中ね。表現には反論・反発があって当然だから、何を言われても放っておけばいいのに。その点では中畑さんに同情します。実際にお叱りを受けたかどうかは知らないけれど。
その一方で個人的には、非常識的または反常識的な身なりながら活躍しちゃう人が好きです。だって、常識に収めようとする人には不要なプレッシャーを自らかけるわけだから。そこは、皆と同じが常識のこの国では見過ごされがちです。だから故郷を離れて日本に来たウォーカーも、どこかで誰かに揶揄されたんじゃないでしょうか。そして「向うじゃ髪型がどうこう言われたことないのにな」と、これが文化の違いと寂しい気持ちを募らせたかもしれない。
“でも”結果を出し続ければ試合に出してもらえる。お客さんに喜んでもらえる。プロはその一点に尽きるのではないかと思うのですが、中畑さんはいかがでしょう。ジャイアンツには常勝という伝統もありますし、このチームが変わるきっかけを彼がつくってくれるかもしれませんよ。鍵は二人目のドレッド登場でしょうか。日本人選手が挑戦したら、伝統以前に「似合わないからやめろ」と言われるかな。

文字盤が自分の目線と同じ高さの、まさに大きな古時計。古くはないのか?

 

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