蔵書エレジー

NHKあたりが報じたところによると、文部科学省は今年5月、全国の小学6年生と中学3年生の200万人以上を対象に、『家庭の蔵書数』を初めて調べたそうな。各家庭の経済力や文化的資本を測る指標としては、国際的な調査でもあるらしい。
その結果は、ここでは触れません。よければこちらをご覧ください。ひとまず、調査のキモはこうです。同時に行われた学力テストに鑑みると、蔵書数の多い子のほうが15~18ポイントほど正答率が高くなる傾向が見られたこと。そこでつけられたニュースの見出しが「家に本が多いほうがテストの正答率高い?」。いかにもウェブぽいよな。
とは言え、あくまで断片的な結果に過ぎないのでしょう。全科目で同様の傾向が現れたようではないし、文科省の原本には簡単に当たれなかったし、他のメディアでは伝えていないみたいだし。なのでこの件を知った親御さんは、「すぐに本を買いに行かなくちゃ!」と焦らなくてもいいと思います。問題とすべきは、経済的な理由で蔵書を増やせない家庭があることかもしれませんしね。
いやでも、蔵書ねぇ。僕が育った家は、どちらかと言えば本がたくさんあったほうだと思います。若い頃に小説家を目指した父親の、いわば夢の遺産だったんでしょうね。敬愛する作家の全集に至っては30巻を超えていました。いつだったか、どんなものかと取り出してみたものの、字の小ささと旧仮名遣いに辟易して、すぐに書棚に戻したんだっけ。もしあれを全巻読破できていたなら、あるいはテスト結果だけでなくこの人生自体も変わっていたかもしれません。変わったほうの人生を確認できないから、特に悔しくもないけれど。
教育に関してうるさくなかった父親でしたが、「本を読め」とはよく言われました。それはほとんど従えなかったけれど、「本を大事にしろ」という言い付けだけは比較的今でも守れています。そんなわけで、たぶん蔵書にカウントできないはずの、買ったままで読んでいない本も綺麗に積むことができています。「そういう意味で言ったんじゃない」と彼の岸でぼやかれるのは必至でしょうが。

急に肌寒くなったらなったで、陽射しが恋しくなる。30度以下で戻ってきて!

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