部屋のインターフォンが鳴るのはとても稀で、だから警戒しつつも「何だろう?」という興味が先に立ってしまったわけです。案の定というか、それは荷物の配達ではありませんでした。
後に大学生と明かした男性は、最初に「3分だけお話を聞いてくれませんか」と、モニター越しに話しかけてきました。要約すると、有名な国際機関の支援依頼で、最終的にはその場(僕の部屋の玄関先)で仮の契約書を交わすというものでした。僕はその書面を出された瞬間、なぜか一気に冷めてしまったのです。で、彼らの活動内容を記した小さなチラシだけもらって帰ってもらった。彼らの活動の尊さは理解していながら。
酷いヤツだったと思います。でも、契約書を出すまでのトークが、僕の気持ちを担ぎ上げてくれませんでした。
「今日は朝8時から動いて、一軒ずつお訪ねしています。その間に体はすっかり冷えてしまい、しかもほとんどが軒先で断られる中、わざわざ話を聞いてくれる人はほとんどいませんでした。なおかつ、我々の団体を知っている人も少ない。だからドアを開けてくれた上に、我々を知っていたあなたはとても意識が高いと思います……」
彼の口調はとても丁寧でした。そしてまた、若いなりの話ベタな感じも、まあまあ好感が持てました。ただ、彼が本当に訴えたいのは、この世界の悲惨な現状を救うための支援なのか、あるいはポケットからチラシを取り出せなくなるほど指が凍えた自分の頑張りなのか、そこがわからなかった。そこを判別している最中に、たぶん焦りもあったのだろうけど、クレジットカードの番号まで記載する仮契約書を差し出されて、前述の通り萎えてしまったのです。
さておき、表現はナニかもしれませんが、国際支援の訪問販売は新鮮でした。コロナによる規制が緩んだからこそ可能になった、または再開できた対面方式なのでしょう。であればこそ、トーク力を磨くべきです。暗黙の内に崇高な理念に共感せよという部分もあるのでしょうが、わざわざ会って話すなら君のために協力するよと、そういう気持ちにさせてほしかったんですね。そのあたり、一歩間違えば詐欺として訴えられかねないご時勢だけに、なおさら説得力を伴った話術を身に着けてくれたらと。
彼の言葉通りなら、やっとドアを開けてくれた相手がひねくれ者だったのは、インターフォンで拒絶されたケースより質が悪かったんだろうな。さらにその日はクリスマスイブで、何かしらの幸運を期待していたとしたら、彼は散々だったかもしれない。けれど、そんな日にサンタにならなかった僕にしても、相応の後味というものがあります。改めて支援について考えさせてくれたことは、一種のギフトなのかもしれませんが。

再び苗場ですが、こちらの方、一晩で積もった雪を掻いておられました。
