ヤンキースタジアム開場100年の4月18日、大谷翔平選手が現地でホームランをかっ飛ばした話の続きです。
件のスタジアムの開場は1923年。それまでヤンキースは、当時ニューヨークに拠点を置いていたジャイアンツと共用する形でポログラウンズという球場を本拠地にしていました。ところが、1920年にベーブ・ルースがヤンキースに入団すると、ヤンキースの試合は球場に入りきれないほどの客を呼び、それに嫉妬したジャイアンツが「もうここは使わせない!」と突き放したらしいんですね。そうしてヤンキースは、独自のホームグランド建設に乗り出した。そんな経緯があるので、ヤンキースタジアムは「The house that Ruth built.(ルースが建てた家)」と呼ばれているのです。
そのベーブ・ルース。生涯通算714本塁打を記録したホームランバッターでしたが、ボストン・レッドソックスでメジャーデビューした当時はピッチャーもやっていた二刀流でした。この史実が大谷選手の登場によって掘り起こされ、何かと比較されるようになったのはご存じの通りです。
そして1世紀の時を超え、ベーブ・ルースが建てたとされるスタジアムの記念日にホームランを打ったのが、同じ二刀流の大谷選手だった。ヤンキースには、昨年MVPを獲得したアーロン・ジャッジというスーパースターもいるのに、野球の神様は彼ではないほうを選んだ。
そんなふうに、過去と現在を紐づけるような因縁を語ることもできます。新聞やウェブの見出しにも最適でしょう。そしてまた、何かを書こうとする僕も、そういう部分にどうしようもなく吸い寄せられます。
でもなあ、と思うんですね。ベーブ・ルースにしても大谷翔平にしても、自分が納得するために日々頑張っていて、その結果が積み重なっていくだけなんじゃないかと。あるいは野球の神様なんていないのかもしれません。翌19日の試合では、ほぼホームランという大谷選手の打球をセンターでもぎ取ってアウトにしたジャッジ選手が、お返しとばかりにホームランを打ちました。それもお返しなんかじゃなく、来た球を打つという野球の基本に則っただけなのでしょう。
だからたぶん、スタジアムで起こる一つひとつの結果はとても小さくて、でも野球というゲームが連綿と続いていくからこそ、因縁など引っ張り出しながら僕らがあれこれ語れる楽しみを与えてくれるのだと思うのです。
やっぱり野球っていいなあ。僕のは草がつくヤツですが、河川敷のグラウンドで今すぐボールを投げたい気分です。本当に伝えたいのは、それだけなんですけどね。

線路脇に咲く健気さを意識したのに、鉄道好きっぽい写真になったな。悪くないけど。
