淋しい月面着陸

人類が初めて月の上に立ったのは、今から54年前の1969年。月面到達であれば、さらに10年さかのぼる1959年、当時のソ連がつくった宇宙船ルナ2号が月の表面に衝突しています。という話題を持ち出せば、今日何を話したいかはわかりますよね。
さておき、アポロ11号による有人月面着陸は、小学校に入ったばかりの僕を激しく魅了しました。ライブか録画はよく覚えていないけれど、テレビで見たんです。重装備かつ白色という無機質感がカッコよかった宇宙服を着た船員が、おぼつかない足取りで月の上を跳ねる姿を。地球より重力が小さいってこういうことなのかと、理論的には何もわからなかったのに、ただもう興奮するしかなかった。
それは期待以外の何ものでもなかったのだと思います。人が地球を離れて宇宙に飛び出す未来は、それこそ人類全体の希望だと心から信じて疑わなかった。
ところが、今は違う感想を抱くようになりました。26日未明に発表された、今回の月面着陸失敗。とても残念だと思います。日本のベンチャーも参加した挑戦だったし。ただ、子供の頃ほどには、最初からワクワクできなかった。おそらく、将来の経済活動に紐づいた計画だったことや、それによって発生する経済効果が試算されたりしたことが、大人になった僕を冷静にさせたのかもしれません。
月への移住プランも具体的になりつつあるそうな。重要なのは水の確保ながら、日の当たらない裏側の地底には凍った水があるらしく、そいつを掘り出せば何とかなるとかならないとか。しかし、それは誰のものなんだ? 7歳になる年にアポロに熱狂したかつての少年は、まずそこに疑問を抱くようになりました。
知ってしまえば放っておけなくなる。それが未知の解明に異様な興味を抱く人類の、本質的な衝動かもしれません。けれど、この地上には知っているのに放置したままの問題もたくさんあるのになあと。そっちに目が向きがちになるというのは、つまらない大人に育った証なのでしょうか。だとしたら、だいぶ淋しい話かもしれませんね。

足元のメイフラワー。

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