月面ピンポイント着陸を目指したJAXAのSLIMプロジェクトに触れるのは、これがたぶん3回目。2月初めの前回は、着地に失敗してSLIMの機体が転倒しつつも、1月30日から31日の2日間で所定の作業を修了。2月1日から月の夜を迎えるところまで書きました。
その14日間に渡る月の夜が終わってから約10日後、JAXAはSLIMとの通信が再開したと発表。また新たな調査ができる可能性を示しました。それは、月が朝を迎えSLIMに装着された太陽電池が機能し始めた結果らしいのだけど、通信再開はかなり困難だったそうです。なぜならSLIMは、昼間100度で夜間はマイナス170度という極端すぎる寒暖差に対応できる設計ではなかった。それゆえ本来なら、月が夜を迎えてしまえばSLIMの復活はあり得なかったらしい。
以上の最新トピックスの中で僕が引っ掛かったのは、月の夜に耐え抜くことを「越夜(えつや)」と呼ぶ事実。初めての単語でした。僕のPCも未知らしく、一発で漢字変換できずにいます。
どうやら宇宙機に関する専門用語みたいです。英語に直すと、至極簡潔なOvernightが妥当なのでしょう。なのに日本の宇宙開発関係者は、月の夜越えに対してそんな言葉を用意したようです。
僕はこの「越夜」という単語の字感に、極めて日本人的なセンチメンタルを覚えます。字面そのままの意味合い以上に、夜を越える辛さや寂しさまで封印したような、そんな風合いというか。今回のSLIMの「越夜」に関しては、開発者たちの「もう一度動いてくれ」という期待または願いも含まれた気がします。前にも書きましたが、無機質な機械を擬人化して応援したくなる心境が芽生えてしまうだろうから。
例によって、そういう数値化できないロマンみたいなものが漂ってくるから宇宙関連は放っておけなくなります。「そうだよな、独りで夜を過ごすのは切ないよな」みたいな青い感傷に共感しちゃうんですよね。越夜、これから上手に使えるようになりたいです。

こんな町の隙間からでも拝みたくなる心理が、自分でもよくわからない。
