桜リバース

あと少しだけ数日前の話をします。今回の熊本行きは、数年を経て再スタートした仕事でした。
世界屈指のギターブランドのマーティン。その日本総代理店の黒沢楽器店が主宰するマーティンクラブジャパンの恒例行事になっているのが、全国の楽器店をベースに巡回するリバースツアー。毎回素晴らしいミュージシャンが参加し、比較的小さな箱でライブを行うという、実はとても貴重なイベントです。
このツアーが始まったのは2004年。僕が取材者として同行し始めたのは、それから約10年後。20年の歴史の半分ですが、それでもけっこう長い付き合いになります。
年におよそ3回のペースで飛び回っていたツアーが中止を余儀なくされたのは、コロナ禍が始まった2020年でした。当初はライブハウスやジムなど、狭い場所に人が集まる施設が感染の温床とされたので、音楽会の開催は軒並みストップがかかった。そんな話も今となっては懐かしく感じます。三密なんて言葉もありました。
そのツアーが諸事情含み、ようやく再開したのが今回の熊本だったのです。
リバースと片仮名で書くと、英単語のreverseまたはrebirthのどちらかわかりませんね。前者は【反転・逆】、後者は【再生・転生】の意味を持ちますが、このツアーに冠されているのは後者です。rebirthを名称に示した理由を書くと長くなるので割愛しますが、いずれにせよ丸4年を何とかやり過ごして復活できたことに関して、参加者全員はそれぞれ改めてツアーの意味を?みしめたと思います。
そんなことを書こうと考えた傍らで、テレビのニュースが言いました。
「5類に移行して初めてのお花見の時期を迎えようとしています」
もはや5類という単語も奇妙に新鮮で、そう言えば花見もリバースだったんだと感じ入りました。いやいや桜自体は、人間たちが何に怯えようと時期が来ればきっちり花をつけていたので、反転も再生もなかったのでしょう。そもそも桜と同義のソメイヨシノは、人間が鑑賞のためにつくり出した種なので、もしかしたら皮肉を感じて僕らを嘲笑っていたかもしれません。
いずれにしても、件の5類移行から1年近くが経とうとしているのに、ここに至ってもコロナ禍の長さや重さを思い知らされると、そういう話です。様々な経験を糧に、よいrebirthを果たしたいですね。

熊本城内の桜。早めにほころんでしまった枝がちらほら。

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