残念な月

年を追うごとに9月が気の毒になっていくのです。いまだ猛暑日なんかがあると、涼しくなる気配とともに漂うはずの憂いなど、どこにも感じられないから。そりゃカレンダー通りに8月31日で夏は終わりとはいかないだろうけど、9月になったら秋であってほしいと、今月生まれは願ってやみません。
それでも、1年で昼間がもっとも長いとされる夏至からは確実に変化しています。東京地方の夏至の日出は4時26分で、日入は19時。9月15日になると、同じく5時24分と17時48分。日出で58分遅くなり、日入で1時間12分も早まっているので、帰宅時間頃に日差しの気配が薄まっていることは、多くの人が感じ取っていると思います。
そうして日暮れ以降が目立ち始め、夜の長さに気持ちが向くことから、9月の古い名前は夜長月が転じて長月になったそうな。となれば月を愛でたくなるのも人情で、年に一度の中秋の名月は17日の晩に上る月となります。さらに今年は22日の秋分の日に至れば、ますます夜が長くなっていくので、9月=長月は実に風流なネーミングであり、昔の人は自然と密接に暮らしていたことがうかがえるわけです。
けれど自然の流れが変わってしまった現在、「まだこんなに暑いのかよ。9月も夏じゃねぇか」と揶揄されるが、何とも切ない。繰り返しますが、9月生まれとしては。そろそろ短パンの穿き納めにしたいのだけど、この気温じゃまだ無理。あと、9月イメージによる季節の移り変わりに恋愛模様を重ねた歌も、今後はつくられなくなっていきそうです。
そうして僕らの季節感は、否応なく変化していく。嘆いたところで元に戻りそうもないなら、秋の始まりを10月に譲るしかないんでしょうね。残念な月と言えば、5月も同類だと思うのですが、どうでしょう。新緑が美しい爽やかな気候が売りだったのに、めちゃくちゃ暑い日が増えてますもんね。心から同情します。

こういう夕景を見つけて秋を実感したくても、地表の暑さとのバランスが悪くて困る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA