「食べ歩きですか?」

「あそこに行くならあれ食べよう」みたいな、ささやかだけど楽しい習慣が皆さんにもあると思います。僕のそれは、時々行くクライアント様の本社に向かう途中のたい焼き屋。こんなところに店があるんだと気付いてから立ち寄るようになりました。まぁ、あんこ好きなので。
つい先日も、往路の電車の中で「そうだそうだ」と思い出し、取材前に寄ってみたんですね。午後2時前かな。僕の前にいた一人のご婦人が、8個くらい注文されておりました。やっぱり人気店なのかもと独り言ち。そして自分の番になり、小豆を1個頼んだら、人のよさそうな男性の店主がすまなそうに言いました。
「今のご注文を焼き上げてからなので、10分ほどお待ちいただけますか?」
さっと買えるのがいいんです。ええ格好しいと揶揄されても、甘いものを待つのは恥ずかしいし。それに約束の時間も迫っていたので、一旦あきらめることにしました。
しかし、いかに小さな炎であれ、一度焚き上がった熱を収めるのはなかなか難しい。なので仕事を終えた3時間半後、再び寄りました。己の執念深さに呆れつつ。
するとまた、僕の前に二人の女性。心の中で「8個、買わないで」と念じながら僕の番がやってくると、対応したのは先ほどいなかった若い女性でした。アルバイトなのかな。その彼女が僕にこう言いました。
「お持ち帰りですか? 食べ歩きですか?」
はて、以前はそんなことを聞かれただろうか。注文は1個だし、持ち帰るのはわかりそうなものなのに、食べ歩きというか食べ方を確認する必要があるのだろうか? 持ち帰りと食べ歩きで包装が異なるにせよ、場合によっては誰と食べるかまでたずねるのだろうか?
カスハラなどが問題になっている昨今、店側にすれば落ち度を指摘されないための予防策を徹底しなければならないのでしょう。そこで接客のマニュアル化がどんどん進む。お持ち帰りと食べ歩きの違いを先に確かめておくのも、その一手かもしれません。だから仕方ないんですよね。たった1個のたい焼きを求める男の、すぐにその場を去りたい気持ちを察する接客ができずとも。
いや、ちゃんと「食べ歩きです」って答えましたよ。鎌倉の小町通みたいな観光地でもないのに。次は店主がいる時間帯だけで買おうと思います。たとえ10分待っても。

こちらが久々のたい焼き。このあと、食べ歩きます。

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