想いが偏る生まれ月の最終日に当たり、僕は今月どんなことで笑顔になったのか振り返ってみました。ふむ、印象的なエピソードはこれだな。
先々月くらいから、僕らの野球の試合を応援しに来てくれる人がいるんですね。しかも、スポーツ飲料などの差し入れを携えて。彼もチームが誕生した飲み屋の常連なので、もちろん顔見知りだし、差し入れのご厚意にも感謝するのだけど、奇特過ぎると思ったのです。だって、何にせよ草野球ですよ。酷暑の中わざわざ出向いて観戦する価値がどれほどあるのか、僕にはまるでわからなかった。
だから聞いてみたんです。何が楽しいのかと。そうしたら、「みんなの一生懸命を見るのがおもしろい」そうな。いやまあ、夜しか会わない連中の昼間の奮闘は、それはそれで笑顔の種になるのかもしれない。
にしても、そんなおもしろさは1回経験すれば十分だろうに、彼は毎試合駆け付けてくれるのです。さすがに奇妙なので、しつこくたずねてみました。すると小さめの声でこう答えたのです。
「もしかしたら出番があるかもしれないと思って、この間買ったグローブを持ってきた」
つい肩を小突いちゃいましたよ。いっしょにやりたいなら早く言ってくれればいいのに。
その彼がついこの間の練習に参加してくれました。子供時代に遊びで野球をやった程度らしく、当然のことながらいろいろおぼつかないんです。その滑稽さが、どうにも微笑ましかった。このまま続けてくれることを祈るばかりです。
そんなふうに笑顔になった機会を振り返ったのは、実のところ9月には、あまりいいことが起きない癖みたいなものがついているから。ついこの間も、間抜けな事態に陥りました。
晩飯を食べた後、近所のクラフトビール屋の前を通ったら、目が合った店主の呼びかけに応じて店内へ。その日は貸し切り営業だったらしいんですね。何と名目が「9月生まれの誕生会」。口が裂けても、「オレも」とは言えないでしょ。むずむずしっぱなしでしたが、祝われる人の笑顔は酒のアテになるもんですね。
できることなら、自分ではなく誰かを笑顔にしたい。そのために先に笑顔を浮かべていると、幸福が連鎖するという話を聞いたことがあります。とは言え60男がニヤニヤしているのも気持ち悪いだろうし、どうしたものでしょうか。え~と、さよなら9月。また来年。

未練がましく小さな秋を見つける会から、こんな空模様が届きました。いかがでしょう。
