新製品を披露する展示会に呼ばれたこと、あります? 僕が招かれるのは、「特別なお客様へ」と謳う、顧客の優越感をくすぐる類ではなく、いわゆる業界関係者に情報発信するために開かれるものです。かつては、それこそ情報収集を目的にあちこち出向いたけれど、今は懇意にしてもらっているところのみ伺うようになりました。
問題は、という表現は他責が過ぎるけれど、僕が行く服の展示会は、その場で新作の注文できるんですね。これがヤバい。懇意は好意あってこそだから、欲しくなる服が多いのは当然。だから自制を心掛けても、あれもこれもとなりやすい。で、気が付いたときには代引き支払いのオーダー票が書き上がっている。その時点で興奮は冷めてしまうので、そこから後は、注文した事実や発送の時期など気にもかけない日々が始まっていくのです。
しかし当然のことながら、数か月後にはちゃんと商品が送られてくる。配達員の方も手抜かりなく、玄関口で「これは代引きですね」と教えてくれる。そこでハッとなるのです。過去のオレは何をしてくれたんだ? と。とは言え、そもそもヤバいのは、年に2度くらいやらかす、未来の自分を驚かせる癖を直せないことです。
そんな事態に直面した翌日、野球用品専門店から電話が。この店で僕は、8月末にファーストミットのセミオーダーを依頼しました。「今ならお得にオーダー可能」みたいな情報を耳にしたんですね。それを聞いてでっち上げた口実は、1カ月早い自分への誕生日祝い。ただし、仕上がりは4か月後の12月末。それならクリスマスプレゼントにもなるじゃないかと、これまた都合のいい納得。こっちの件は、未来の自分をよろこばせたくて、納品のタイミングを忘れずに待っていました。
それが、予定より早く出来上がってきたという。たちまち湧き起った興奮に任せて「明日、取りに行きます!」と応じました。
いずれにしても、我が身だけが影響を受けることであれば、忘却が原因の「予期せぬ」であれ、退屈しがちな日々を刺激してくれる材料になるかもしれない。そんな賢明な考えを持とうするのは今の僕。過去のオレは好き勝手で、未来の自分は何も知らないまま。いやまぁ、服もミットも大事にするので、全然いいんですけれどね。

見たい? いや、見せたい! 大谷さんと関係ない我が背番号入りの別注品。
