特に飲み屋では、恋愛方面の話題には関わらないようにしています。酒の勢いで語られるのは、およそトラブル系。愚痴を聞くしかなくなるというのは、もらい事故という他にありません。仮にアドバイスを求められても、こちらから何かを言えば、自分の恋愛観や経験談をさらけ出す危険度がどんどん高まっていきます。そんな辱めは何としても避けたいので、とにかく最初から触れない。人でなしと罵られようと、それ以外に我が身を守る方法はない。
しかし、よい恋愛をしている人にはかないませんでした。女性ですけれど、全身にこれ見よがしの幸福色のオーラをまとって来店。その甘ったるい気配をビームに変えて、狭い店内で打ちまくるから逃げようがない。なおかつ、彼女をよく知っているという女性店主は、初弾をまともに食らって感涙をこぼし始める。すると、ビームを放った当人もつられて涙をこぼす。
あの光景はヤバかったです。店の中には、泣いている女子2名と僕だけ。そこに何も知らない客が来たら、通報必至だったでしょう。だからやっぱり、恋愛の話題は関わらないほうがいい。
出会って2年。付き合って1年。この連休中の旅で彼からプロポーズ。それがどうしようもなくうれしかったそうな。そういう特別な状態の人を見ると、困ったものでインタビューせずにいられなくなる癖が顔を出します。
あれは、出会いから1年後に付き合うと決めた理由をたずねたときだったかな。
「たぶん最初から気になっていたから、運命だったと思います」
なんて浮かれた回答に返せるのは「へぇ」のみ。なのに僕はつい憶測をしゃべってしまいました。付き合うまでの1年間は、この店で互いを観察し合っていた。自分との会話だけでなく、他の人との対応も含めて。それがいわば一目惚れの答え合わせ。そうして「この人」と確定できるのに1年を要した。そういうことなんじゃない?
「そうです! なんでわかるんですか?」という歓喜の自白を聞きながら、僕は身構えていました。「それは経験談?」とたずね返されるケースを想定して。いやいや、あくまで相手に語らせるための誘導的な憶測に過ぎません。口が裂けても自分のことなど話さないけれど、うっかり防御が緩くなるのも恋愛方面の怖さと再確認した次第です。でも、こちらの盾を簡単に貫くほど、あの晩の幸福ビームは強烈だったなあ。

先週末の日比谷あたりは、こんな感じ。
