たくさんのヒット曲を世に送り出した音楽家が言っていました。メロディは鼻歌から生まれることが多く、なおかつ風呂に入っているとき突然鳴るという。だから入浴には録音装置が欠かせないらしい。水気を吸って壊れないかと心配になるけれど、名曲のためなら惜しくはないか。
人はどんなときに鼻歌を歌うのか? この問いについてAIあたりは、こんな回答を示しました。
●不安や退屈を感じているとき
●楽しい気分になったとき
おいおい、真逆じゃないか。結局AIは、ひとまずあらゆる答えを広げる悪賢いヤツだと思うわけですが、「心理学的には、自分の感情を整えるためのセルフセラピーとみなされている」といった前置きがなされています。それも何かズルいけれど。
さておき、鼻歌が自分の感情を一定に保つための無意識行動だったとしても、不安や退屈な場面で鼻歌が出るものだろうか。一種の自己暗示法にしている人なら別かもしれませんが、「こりゃヤバいぞ」と悟って意識的に鼻歌を歌うなら、それは無意識行動ではないですよね。だから僕は、負のストレスがかかっている状態と鼻歌はまったく無関係と断言します。
ここで音楽家の話に戻りますが、見落とせないのは風呂です。新しいメロディを求めてやまない人は、おそらく寝ても覚めても頭の中で音が鳴っているんじゃないでしょうか。それらを拾い集め、たとえば8小節程度につなげようとするとき、様々な方法を試してきたはずです。楽器を頼ってみるとか、机の上で唸ってみるとか。
しかし曲作りに意識が向いていないとき、向こうのほうから鼻歌となってメロディがやってくる場合も少なくない。風呂場であれば、湯気の奥から。
何が言いたいかというと、鼻歌が出るのはリラックス状態限定。あるいは楽しい気分のとき、自分の感情を一定に保つため鼻歌を歌うとしても、それは過度な楽しさをあえて落ち着かせようとする状況を示しているのだと、鼻歌を聞かされる側はそうであってほしいと思うのです。
誰かが鼻歌を歌っている世界。これは、本日最初に閃いた一節です。楽しい気分に満ちた世界じゃないと困るので、必死でAIに抗ってみました。この時期の鼻歌ヒットチャートに入るのは、王道の『ジングル・ベル』でしょうか。となりでフンフン歌われると、「今ここで?」と呆れながらも、不思議と幸せな気持ちになると思うのですが、いかがでしょう。

鏡面仕上げは追突注意だな。
