「昨年の話」と前置きしたくなりますが、たった1カ月前。近所のお母さんからうかがった、娘のクリスマスプレゼントのトピックです。
iPhone 17 Proか、グッチのバッグ。以上がサンタさんへのリクエスト。この場合、娘が何歳だと「なるほどねぇ」と思えるのでしょうか。高校生? それでもませてる気がするけれど、彼女は小学2年生。「どこでそんなもの覚えてきたんだろう?」は、お母さんの率直な疑問だったようです。
この件を聞いたのは12月の初め。次に会ったのがクリスマス直後。そのときの小学2年生は、黒の特攻服をまとっていました。特攻服、わかります? 喧嘩上等や夜露死苦といった漢字の刺繍が入った、ヤンキー暴走族がお気に入りの服です。でも、実物に触れる機会は滅多にないし、目の当たりにするとコントの衣装に見えちゃうんですよね。なのに彼女は、とても誇らし気でした。
「最近になってヤンキー漫画にハマった影響だと思うんですけれど、どうしてもと泣いて頼まれたから仕方なく……」
小2には明確な理由がありました。僕が会った翌日に子供向けの演劇ワークショップが開催されるという。それに参加する上で、彼女なりに目立つため、金文字の刺繍入り特攻服が必須だったらしいんですね。スマホやブランド物からの振り幅が異次元です。子供用が存在するのも驚きでしたが、ここに小2の伯父の証言が重なります。
「ヤンキー漫画のスピンオフストーリーを、自分で勝手に書いているんですよ。これが案外おもしろくて、8歳にしては凄いなあと」
ぐっときちゃいました。もしや彼女は、ワークショップを経て役者と脚本家を両立させたいのかもしれません。いずれにしても、創作に意欲的なんて、赤の他人ながらうれしくなります。そうした興味がまっすぐに伸びていったらいいですねとお母さんに言ったら、こう返されました。
「もし娘が作家を希望したときには、タムラさんの弟子にしてください」
いやいや、若くて新鮮な才能こそ大事にすべきなので、自分はマネージャーになってがっぽり儲けさせてもらいますと答えました。
僕のただ今の興味は、小2のその後。ワークショップでどんな体験をしたか、ぜひ聞きたいと思っています。会った瞬間も特攻服を着ていたら、めちゃくちゃワクワクしそうです。

低湿度の美点のひとつは、空気を澄ませて夕空がきれいになることじゃないでしょうか。
