打算と無縁な存在

どんぶり勘定の僕ですら、最近は物の値段が上がりっぱなしの実感に苛まれています。その戸惑いは、買う側だけが抱くわけではないみたいです。
海外ブランドを扱うギター屋も嘆いています。まずは円安。加えて世界的な資材不足や運送費&人件費などの高騰によって、新品の値段が上昇の一途。商売を知らない素人は、人気ブランドが高く売れるなら、より儲かるんじゃないかと思ったりするのですが、「アホか」と呆れられます。何よりも、高値に臆した買い控えが怖いそうな。為替の不利益分をぐっと飲みこんだ日本価格を設定するにしても、我慢の限界はあると。そう聞かされれば、返す言葉がありません。
新品価格の高騰以上に異常なのが、年代物の値段。経年した木工製品が、すべからくただの中古品やオンボロにならないことはわかっています。その時代ならではの技巧や材を用いた、今ではつくれない製品が高値で取引されるのは当然。限定的な価値を有したヴィンテージが憧れの的になるのも理解できます。
しかし元々高価な年代物が、この15年くらいで10倍20倍の値をつけるのは狂っているという他にありません。投資の対象にされているのが理由らしい。これには音楽家が嘆きます。弾きもしないのにと。
そうした状況は、ギターに限らず様々な領域で起きていますよね。だからたまに、世間に敏い人から耳打ちされたりするのです。「あんたのギターだって値上がりしてるんだから、売ったら儲かるんじゃないの?」と。
そんな声には聞こえない振り。僕にとってギターは、打算と無縁な存在。他人の価値観なんてどうでもいいのです。
そんなわけで、手元に来て24年目を迎えたギターの相場には目を背けてきました。だけど本日の話題におよび、ちらっと見てしまったのです。新品価格は約2倍。中古品も購入時の水準に達していました。でもまぁ、「へぇ」ですけれどね。
もうひとつの耳打ちは、「あんたのクルマも」です。旧車の価値が上がっているのは知っています。でも、絶対に調べません。期待するのもがっかりするのもイヤ。それに買い取り額を探っているなんてオンボロに気づかれたら、へそを曲げて動かなくなりそうだから。

営業中かすら定かではない、布団屋さんと思しき店先の招き猫。表情が健気で……。

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