「世界に平和をもたらせるのはあなただけ」と持ち上げられた大統領が、例によって場当たり的な演説を行った約2時間半前。というのは日本時間で4月2日(木)の午前7時半頃、フロリダ州のケネディ宇宙センターからアルテミスⅡが打ち上げられました。その件を知ったのは、わりとさっき。ニュースサイトに掲載された、宇宙船の搭乗員が窓越しに撮影した地球の姿を見て、「ほお」となった次第です。
数日前の打ち上げは、アルテミス計画に則ったものらしいんですね。ご存じでした? その計画、これまたさっき調べたところによると、日本を含む国際パートナーをNASAが主導する、有人月面着陸と長期滞在を目指す国際探査プロジェクトだそうな。
有人月面着陸で真っ先に頭に浮かぶのは、1961年から1972年にかけて実施されたアポロ計画。このプロジェクトの主目的は、地球外天体の月に人類を送り、安全に帰還させること。実際に計6回の着陸で12人の飛行士が月面に足跡を残しました。
そうして目的を果たしたのに、なぜまた似た試みをするのか? 今回のアルテミス計画は、先述の通り月面での人類長期滞在を実現させるため、ゲートウェイと呼ばれる月面拠点の建設を行い、ひいては火星等の探査の足掛かりをつくるという、より具体的な宇宙開発のフェイズに入ろうとしているのです。
ちなみにアポロの由来は、ギリシャ神話の太陽・芸術・医術を司る神のアポロン。一方のアルテミスは、同じくギリシャ神話の狩りと月の女神。この二人は双子なので、活躍の連続を期待した、なかなかにロマンチックな命名だったのでしょう。
しかし、1969年にアポロ11号が実現させた人類初の月面着陸をリアルタイムで知っている僕は、今回の計画にまるでワクワクしません。あのときの興奮を経験済みだから? それもあるだろうし、あるいは大人になるにつれ、誰のものでもないはずの宇宙に手を出す人類の行動に対して疑念を持つようになったところもあるでしょう。こうも思うのです。月や火星の前に地球だろと。
実を言えば、アポロ11号の偉業が伝えられた時点で6歳10カ月の僕でも、当時のベトナム戦争が継続中であることは知っていました。それを振り返ると、あれから60年近く経ってもこの世界は、というより人類は、何も変わっていない気がしてなりません。
いやまぁ、今の子供たちがアルテミス計画にワクワクしているなら、僕の疑心暗鬼はただの文句扱いでかまわないけれど。

オオキバナカタバミだそうな。小さな黄色い花は、心を軽くしてくれるなあと思って。
