このまま掲載したら炎上するかもと思い、ボツにした原稿があります。いやまぁ、ひっそり書いているので叩かれたりしないだろうけれど、相応の処置を試みたのでボツ原を掘り起こしてみました。
主題はカラスの営巣。3月17日付けのここで、ベランダから見下ろす電信柱の頂上付近でカラスが巣づくりを始めた写真を乗せました。そのときは、「くちばしに小枝をはさんでくるヤツを毎年目撃するけれど、営巣の成功例はまだ見ていません」と高を括ったキャプションを添えましたが、どうも本気だったみたいです。
真っ黒なので同じ個体か識別できないものの、頻繁に訪れるヤツがいて、やがて二羽が来るようになり、見る見るうちに小枝の集合体が巣の形となり……。
その間の頭の中には、二つの考えが交錯していました。ひとつは、興味深い定点観測の機会に恵まれた幸運への感謝。もうひとつは、このまま巣をつくらせていいのかという不安。後者を押し上げたのは、かつての記憶です。
この町で暮らし始めて半年が過ぎた5月か6月。今とは違う住まいの建物を出た直後、後頭部をカラスに襲われました。ヤツラら、くちばしで突くのではなく、足で蹴るんですね。その時期のカラスは子育ての真っ最中で警戒心が強く、巣の近くを通る人間を一方的に襲撃するらしい。となると、僕が見つけた巣で子育てが始まれば、その下の歩道を通る人が罪もなくカラスに攻撃されてしまうかもしれない。
そこで自覚したのが道義的責任でした。もはやラッキーな定点観測では済まなくなり、電力会社に相談メッセージを送る羽目に陥るとは……。
降って湧いた厄介事です。メッセージには個人名と電話番号を記載せねばならず、翌日には「電信柱を確認しました」という律儀な連絡が来るのだから。
電力会社の見解は次の通り。現状では停電の可能性が低く、すぐさま撤去するとカラスの凶暴性が増す恐れがあるので、しばらく様子を見ると。より神経質になる子育て時期はどうするのかたずねたら、それもそのときに検討するそうな。ということは、もしや僕に観測を続けさせた上で再連絡を待つってことなのかな。だとしたら、黒羽がもたらした道義的責任はまだ免れていないのか?
やれやれな気分です。ベランダの目の前だから、毎日見ちゃうけれどさ。これはボツ原と同じ締めですが、巣づくりだけで諦めてくれることを祈るばかりです。

3月17日の写真と見くらべてもらえば発展ぶりは明らか。町の安全のためにも観測続行で。
