僕がフリーランスのライターになった20年ほど前は、その主戦場は雑誌でした。連載の数がライターの勲章みたいなところがあったんですよね。ところが時代は移ろい、印刷媒体が数を減らす中でウェブが新たなフィールドに取って代わった。残念と思っても飯を食っていかなきゃならないから、僕もいつしかウェブ中心になりました。それで特段、ウェブライターという意識は持っていないけれど。
いずれにしても、現在の僕が連載を持たせてもらっている雑誌はわずか1誌となりました。その最後の砦と言うべき雑誌が、ついに献本の配送を辞めたのです。見本誌とも呼びますが、制作に関わった人々に刷り上がった本を献上するのは出版界の習わしでした。
では何で最終の仕上がりを確かめられるかというと、電子書籍です。編集部からはメールでIDとパスワード。ふむ。ふむふむふむ。
わかるんです。すでに雑誌は電子書籍でも読めるようになっていることも、少なからぬ数の関係者に配送するコストがバカにならないことも。だから、どこかのタイミングでこうなるのは時代の理なのでしょう。あるいはそれも、誰かにとってはデジタルの恩恵に属するのかもしれない。
でもなぁ、電子書籍にはどうしても馴染めないんだよなあ。最初からウェブならそんなふうに感じないのだろうけど、手応えがないんだよなあ。
これは何と言えばいいんだろう。デジタルの損失? 何だかよくわかりませんが、寂しい気持ちが募ったのは確かです。

キャッチャー1試合分の内出血。デジタルゲームじゃ味わえまい。味わいたくないか。
