記録や栄冠よりも

あちこちで流された記者会見の映像で、これがもっとも重要な言葉だったと思うのです。
「どこまで強くなれるかが自分にとって一番大事」
そんな人生哲学を19歳の藤井聡太さんが口にするわけです。いやいや、すでに藤井三冠とお呼びしなければなりませんね。
さておき件の発言は、史上最年少で三冠達成した感想を聞かれての答えに違いないでしょう。まぁ対局直後であれば、そうたずねたくなる気持ちはよくわかります。ただ、藤井三冠を取り上げるメディアのほとんどは、早くもタイトル戦に視点を移しているわけです。なぜなら、次の竜王戦で勝てば全部で八つあるタイトルの半分が彼のものになるという、メディアにとって飛びつきやすいトピックが生まれるから。
ちなみに、現時点で藤井さんと同様に三冠を達成しているのは、渡辺 明名人・棋王・王将。でもって竜王のタイトルを持っているのは、13日に藤井さんに敗れ叡王を失った豊島将之さん。豊島竜王としては藤井四冠の誕生を阻止する負けらない戦いが求められるという、これもこれで飛びつきたくなる展開ではあります。
でも僕としては、20歳手前の青年が記録や栄冠よりも大事にすることに注目してほしいのです。何ならインタビュアーを買って出ましょうか? 僕だって「どこまで上手に書けるかが一番大事」という意気込みで仕事していますから。
しかし、藤井三冠に取材を受ける時間がないとしても、僕にお鉢は回ってこないでしょう。周囲が納得できる記録や栄冠を持ち合わせていないですからね。それなら今すぐ誰にもわかりやすい名誉を獲りに行けばいいのか? 獲れたら僕にいの一番でインタビューさせてくれるのか?
思考が混濁してきました。記録と栄誉ねぇ。持ったことはないけれど、持って邪魔になるものじゃないんだろうな。とにかく、聞いてみたいのです。もしや藤井さんにとって勝つことと強くなることは、必ずしも一致しないのではないかと。

どうしてこんな青が出るんだろうと、普通のお宅の垣根を見るたび感心するのです。

 

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