身軽に関する話題は、本棚の引き取り完了を持って終わりにします。実はこのタイミングで長く使ってきた冷蔵庫も買い替えました。それまでより小型なので、あらゆる点で部屋の中がすっきりしております。
そうして空間整理が叶ったわけですが、本棚や冷蔵庫を動かしてみると、やはりいろいろ出てきました。何年か前に引っ越してきたとき、適当な収めどころが見つけられず家具の裏や隙間に差し込んだものたちです。うんと昔に買った絵画とか、学生時代の変形判のアルバムとか、口にするのも憚れるあれこれとか。
それらは表に出したくない類です。とは言え来客など滅多にないから人目を気にする理由はなく、ただ何となく捨てる決心ができないまま、隠すように裏へと追いやったのでしょう。
そういうものを処分するのが断捨離だと叱られたら、どよんとうなだれる他にありません。なので今回の身軽騒動中、僕はこの言葉をできるだけ使わずにきました。なぜなら、完全にやり切れる自信がなかったから。
たぶん性格です。原稿書きを除く私的な日常作業は、およそ表面だけ取り繕えたらそれで十分。そんな付け焼刃の行動がやがて大きなツケとなって回ってきたのが歯でした。手頃な処置で済ませ続けた挙句、年を重ねてみたら想定外の治療費を払う始末に……。
いやいや、歯と本をいっしょにしなくてもいいだろうと思う刹那、これだからお前はと嘆く自分も現れて、至らない自分が行う空間整理の限界を悟ったりしました。
今回はどうしたか? 今は秘密、なんてしょ~もないオチに代えまして、僕の部屋を訪ねてくれた買い取り業者の皆さんが感じよかった話を最後に。
8月のオートバイに立ち会った人は、ひたすら僕のオンボロクルマを褒めそやし、気を許したらクルマを査定される勢いでした。重い段ボール箱に嫌な顔一つしなかったのは、本を引き取ったメガネの男性。本棚の出張見積もりをしてくれた青年は、会社がある遠い町を知っていると話したら目を丸くして喜んでくれました。
本棚を回収したお兄ちゃんは、聞きもしないのについ最近クルマの免許を取ったばかりと教えてくれて、「東京の道は怖いっす」と首をすくめました。体を使って働いている人たちが爽やかってのはいいですね。そんな気持ちよさで身軽衝動を締めることができて、自分の判断の正しさにうぬぼれているところです。

北側の網戸にときどき現れるヤツ。真夏は来なかったなあ。
