今日もどこかでモンスターは

この話を持ち出せば「また時事か?」ってことになりますが、藤井聡太さんの8冠達成は、将棋に疎い者でも驚異的であることはわかります。全タイトルを独り占めって、そんなに強い人がこれまでいたんだろうかと思いますよね。そしたら情報番組に出演していた専門家が、こんなことをおっしゃいました。
「羽生さんが出てきたとき、こんな凄い人はもう現れないって言いました。でも、出ちゃいました……」
羽生善治さんは、歴代最多の1500勝を達成している将棋界の王。1970年生まれなので53歳ですが、この人に若いイメージがあるのは、藤井さん同様、10代での活躍が記憶にあるからです。
中学生だった15歳でプロの棋士になり、19歳で初タイトルを獲得。その頃も僕は将棋の世界をよく知りませんでしたが、メディアの大騒ぎによって、少しだけ棋士という存在に興味を持つことができました。
25歳の1996年には全タイトルを独占。このときの冠は、今と違って7つだったので7冠達成になるわけです。だから藤井さんの8冠は前人未踏。もし1996年のタイトルが8種だったらどうなっていたことか。
話題の的の藤井さんは2002年生まれ。羽生さんが世間を賑わせた7冠を達成した時点でこの世にはいませんでした。何と言っても歳の差32。まさに親子ほど世代が違うのだけど、同じ土俵? 将棋の場合は何と言えばいいのかわかりませんが、プロ同士として差し向かいで対戦する機会が訪れているんですよね。
現在は互いに実在しているから実感は薄いのだけど、時空を超越している感を覚えませんか。プロになったときには生まれてもいなかった者と戦う気持ち。そして自分が生まれる以前からプロだった人と向き合う気持ち。それぞれじっくり聞いてみたいです。
「だから今度は、藤井さんが追われていくのです。棋士を目指すまだ幼い子供たちに。あるいはまだこの世にいない存在たちに」
これは、前出の専門家が締めに用いたセリフです。かつて不世出と口にしてしまった言い訳として聞いてはいけませんね。どの世界でも、記録を塗り替える若者は現れる。それが事実なら、今日もどこかでモンスターはこの世に生を受けているはず。50代になった藤井さんを脅かす10代棋士を見たいなあ。30年後となれば、難しいだろうなあ。

都電は和むなあ。

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