立冬2023

今年の流れに沿って二十四節気を推していきます。今日は立冬。太玄斎という方が1787年(天明七年)に著した『こよみ便覧』によると、「冬の気立ち始めて……」と解説されているそうな。冬の気が立つから立冬。しかし今年に至っては、「11月になっても夏日」がニュースになったりして、冬の気配はどこ? って感じです。
明治あたりの時代を背景にしたドラマを見ていると、ご婦人たちは夏の盛りでも颯爽と着物をまとっていらっしゃいます。あの暑い時期用の生地は絽や紗でしたっけ。そうした衣は、真夏でも30度前後にしか達しなかった頃であれば何とか着こなせたんでしょうね。けれど今年なら、9月いっぱいは無理だったかもしれない。着たら倒れると周囲から反対されるだろうし。
あるいは、100年後のドラマが今の時代をモチーフにした場合、真冬にコートを羽織る一般庶民の姿を見て驚かれるかもしれません。「この国でも昔はそんなに寒かったんだ」みたいに。
どうにも気候がおかしなことになっている実感は誰にでもあります。動物や植物もそうでしょう。ただし彼らは科学情報を必要としない暮らしを送っているので、自然という名の与えられた環境に合わせて生きるしかありません。
なぜか今年は山に木の実が育たたない。その理由がどうあれ冬眠を控えたクマたちは、食べ物を探して慣れ親しんだ場所を離れる。たぶん恐々と。しかし空腹に苛立ちながら。
僕らはもう知っているはずです。一時期的な振れ幅としておきたくて異常と呼ぶものが、もはや平常になりつつあることを。僕が必死になって「暦の上では」の二十四節気にこだわるのも、慣れ親しんだ季節が失われてしまうことを恐れているからです。かと言って、今日からウールのセーターを着られるかどうか。俳句の先生も困っているそうです。風流な季語が実生活に合わなくなり過ぎているらしい。
いやいや、人類には英知というものがあるので、きっとどこかで平常を取り戻せると信じたいです。できれば立冬の日に季節の気を感じられるようになればと。

秋らしい雲をTシャツ姿で見上げた立冬前日。

 

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