前評判

自分に入れたくないものは、激辛または激甘の食べ物と、前評判。たとえば強烈な麻婆豆腐とか、アメリカ方面の見た目が派手な菓子類とかは、ただの罰ゲームにしか思えないのです。それら極端なものを避けて意気地なしと罵られようとも、何にせよちょうどよい頃合いがあるだろうと、僕は強く主張したいわけです。
いやいや、本題は前評判でした。特に仕事では不要です。ここで言う仕事は、人に会って話を聞くインタビューになりますが、事前に知っておくべき対象者の情報にも、ちょうどいい頃合いがあります。
どのあたりが頃合いかというと、「いつ・どこで・何を……」という5W1H的な事実関係だけで十分。それ以外は、直接会えるのだから聞けばいい。
そうした心掛けの向かう先は、会う前に偏見や固定概念を生み出さないことに尽きます。僕はあくまでただの聞き手だから、どんな人であってもフラットな状況で応じるべきなのです。強いて言えば、ひたすら吸収するだけの新品のスポンジみたいに。
しかし昨今は、SNSがちょうどよい頃合いを潰しにかかります。あるいは、気遣い豊かな関係者が僕の小耳に評判を差し込んできます。SNSは遮断すればいいけれど、関係者のそれは聞かねばなりません。ひとまず大人の振舞いとして。けれど、「あの社長は気難しい」と教えられても、じゃ辞めますとは言えない。というより、気難しく感じるのはあなたなんじゃないかと、そんなふうに思ったりします。思うだけで口にはしませんが。
いずれにせよ前評判や噂話は、どうしたって気になります。しかしそれらに左右されると、物事をまっすぐ見られない気がします。そもそも僕という人間には、生い立ちや経験によって動かし難い傾向が具わっているから、これ以上バイアスをかけたらまともな文章が書けなくなります。だから前評判は、できるだけ入れない努力をする。何が起こるかわからない余地を残しておいたほうが何かと楽しいですから。
とは言うものの、激辛または激甘の食べ物に関しては、評判以前の事実を知っておきたいです。食べ物で罰ゲームみたいな目に遭うのは人生の損失に感じるから。それに、あらゆる麻婆豆腐を嫌いになりたくもない。

工事が終わる姿がまるでイメージできない渋谷駅周辺。

 

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