爆上がり

「最近で爆上がりした仕事って何ですか?」
ある現場で、お世話になっている制作会社の、確か20代後半の女子にいきなりたずねられました。自分ではあまり使わない言葉で切り出されると、耳が追いつきませんね。爆上がりを「アルマゲドン?」と聞き返してしまいました。
いずれにしてもこの類の質問には、相手が求めている答えを返せないのが僕の常です。けれど僕の担当でもある彼女の問いを無下にもできず、リアクションの薄さを覚悟して正直に答えました。
もうずいぶん爆上がりなんてしていない。ただし仕事で聞く人の話は必ず興味が持てるので、その点では毎回上がってはいる――。
予想通り、「へぇ」って顔になりました。まぁ、そうでしょう。有名な芸能人に会ったとか、滅多に行けない場所に行けたというような話を欲していたはずだから。
そういう経験がないわけではありません。名前を出せば間違いなく驚かれる有名人と差し向かいで長いインタビューをしたこともあるし、あるいはアフリカの荒野を約1週間クルマで走り回ったことも過去にはありました。
そうした、強いて言えば非日常的な状況や環境を与えられる仕事を初めて請け負うときは、そりゃ彼女が言うように爆上がりします。けれど、業務上の体験を原稿という情報に還元する作業を繰り返していくと、人の知名度や場所の特殊性に重きを感じなくなっていくのです。かなりぶっきら棒に表現すれば、誰であれどこであれ、自分の責任を果たすだけ。このあたりは、自分で言うのも何だけど、やはり経験の違いからくる意識の差でしょうね。それはつまらないと思うかもしれないけれど、どんな場面でも上がらなくなったのは、経験を積んだからこそ得られたメリットです。
だから君も仕事を続けていけば、どうしようもなく爆上がりする機会が増えていくだろうし、やがてそれにも慣れていくんじゃないかな?
なんて大人っぽい助言をしようとしたら、件の彼女は別の仕事に取り掛かっていました。その一方的にフラれた感じは爆下がりというんだろうか。

久々の日比谷上空。何か暖かくて、マフラーしてたら汗ばんでしまいました。

 

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