月面ピンポイント着陸を目指したJAXAのSLIMプロジェクトに触れたのは、昨年の12月30日。その後、僕が何も書かずとも計画は順調に進み、去る1月20日、当初の予定通り無人探査機が月面にタッチダウン。誤差100m以内を目指した精密着陸は、ターゲットポイントから55メートルずれただけ。壮大な実験が大成功を収めたのは、ニュースをご覧になった皆さんもすでにご存じの通り。
しかし――これもご承知だと思いますが、着陸寸前に予想外のトラブルが発生。2基のエンジンの1基が脱落し、降り立った瞬間に転倒。これによってSLIMの太陽光パネルが太陽の方向を向かず、発電ができない状態に。再起動のためにいったん電源を落としたそうです。
そんな状況でも、月面着陸寸前にSLIMから分離した月面探査ロボットのLEV-2は月の上に降り立ち、ひっくり返ったSLIMの姿を映した画像を送ってきました。無様と言ったらJAXAの担当者に申し訳ないけれど、転倒しながらも期待に応えたSLIMも、健気に任務をこなしたLEV-2も意地らしくなります。
そのLEV-2、直径8センチで質量250グラムの球体で、探査時には球が半分に割れ、分割したボディが車輪になるよう変形します。玩具メーカーのタカラトミーが開発に参加したのも有名なエピソードですが、そういうSFアニメみたいな仕掛けを誰も見ていない場所で実行する律義さもまた胸に迫ってくるんですよね。なおかつ親しみやすさを上げるためか、SORA-Qという別名まで用意されています。
いかんいかんと思うわけです。宇宙開発に関しては疑問や矛盾も感じているので、探査機やロボットに絆されてはいけないと。なのに、これは少年の心というのでしょうか。SORA-Qみたいのほしいなあと検索してみたら、『SORA-Q Flagship Model』という実物大模型がタカラトミーから発売されている事実にたどり着いてしまいました。昨年の9月から販売しているので、まだ在庫があるかどうか。参るなあ。いや、参っちゃいけない。
小惑星探査機のはやぶさ2もそうでしたが、無機質な機械を擬人化して応援したくなる心境とは、どういうものなんでしょう。文学的な気持ちが働くからでしょうか。ちなみに、28日になってSLIMの電源は復旧。なれど2月1日になり、太陽光が当たらない月の夜に入るため再び運転休止。今月下旬に活動を再開するそうです。いずれにせよ、SLIMもLEV-2も地球に帰る予定はないらしいんですよね。参った。ますます愛しさが募りそうだ。

枯芝河川敷。寒かった。
