最近になり、夢見が忙しくなりました。ほぼ毎日、目覚めたあとでもしっかり覚えている内容が多くて、いささか自分の睡眠が心配になります。昨晩はこうでした。
大型ワゴン車の2列目のシートに座って都心を移動中。となりの席には、アナーキーな雰囲気を漂わせている若い女性。知り合いにはいないタイプです。いずれにしても僕らは、前方にそびえる高層ビル内の楽器屋に行かなければならないらしい。それが揺るぎ難い目的であることは、横顔の彼女の強い眼差しからうかがい知れました。
そこでいきなり車窓の景色が変わります。見た覚えがあるようなないような、田舎の山道。僕は慌ててクルマを運転しているタモリさんに背後から話しかけます。これこそ「ザ・夢」。何の説明も与えられないまま、後頭部しか見えず、まだ声も聞いていないのに、それはタモリさんであると認識させられました。
「申し訳ありませんが、僕らは都心に戻らなければならないので、できれば近くの駅で降ろしてくれませんか?」
これは、始めて話すタモリさんにかけた僕の言葉。するとタモリさんは、タモリさんではない声でこう返しました
「今日は自分のクルマを途中に置いてきたからね」
発言の意味がつかめないまま右側の窓に目をやると、大きめの駅が見えてきました。そこに回り込んでくれたらいいのと思っても、タモリさんは後頭部を見せたまま走り続けます。
そこでまた場面転換。気づいたら僕がハンドルを握っていました。しかし、停められた駐車場はかなり狭く、なおかつクルマのフロントウィンドウやサイドミラーが酷く小さくて、抜け出るのに難儀するのです。たぶん二度くらいは脇のクルマに擦ったみたい。
そんな不自由さに悩まされたまま目が覚めました。この夢にはどんな意味や暗示が込められているのだろう。それらを一切教えてくれないので、今もって奇妙さが拭いきれていません。できれば、夢でも会いたい人との幸福な場面を見せてほしいものです。
けれど夢は、どんなにめちゃくちゃな編集であっても、脳内に保管された自分の体験記憶以外は現わさないらしい。となれば、夢に出てくる登場人物の発言や行動は、僕の体験範囲という制限を与えられてしまうのでしょう。それだと予想を超えないからおもしろくない。というか、自分の無意識な欲求を晒されるようで、それこそ目覚めが悪くなります。
とは言え、アナーキーな彼女と後頭部だけのタモリさんなんて、僕の制限を超えた存在なんだけどな。何はともあれ、夢なんて見なかったと言えるほど、ぐっすり眠りたいのが今の願いです。

紫陽花は土壌の酸性度で色が変わるのに、白いのは何色にも染まらないそうな。
