釣りへの興味

わりと気を引かれてしまうのが、テレビの釣り番組。その類は腕の立つプロがガイドを務めているので、たいがいは狙った獲物を釣り上げます。そんな予定調和を了解していながら、それでも「来た!」みたいなロッドが大きくしなる瞬間にワクワクしちゃうんですよね。
実はとても釣りをやってみたいのだと思います。しかし僕には、どうもセンスがない。子供の頃に何度か、父親が僕ら兄弟を釣りに連れていってくれました。砂浜の記憶が多いから、おそらく夏休みの海水浴のタイミングだったのでしょう。ただ、そこで何かを釣った覚えがありません。あるいは父親も弟もボウズ(釣果ゼロ)だったんじゃないかな。
そんなこんなで「来た!」みたいな感覚を味わえないでいると、どうしたって飽きます。あるとき、そうしてすることがなくなって、みんなも釣れずに暇だろうからと、母親がつくってくれたおむすびの袋をクルマから出しました。いつでも食べられるようにという配慮で。すると父親と弟が声を荒げたのです。
「日向に出したら傷むだろ。だからアニキは……」
この叱責はトラウマになりました。おむすびより少年の心のほうが傷みやすいのに、「だから」って何なんだよ。おかげで二度と釣りなんて行かないって決めちゃったじゃないか。
そんな苦い思い出があっても釣りへの興味は消えず、大人になってからリベンジを果たします。30代で携わった自動車専門誌で長く連載した釣り企画。知り合った二人のアニキたちと、フライフィッシングの旅をするというものでした。そこでも自分のセンスの乏しさを思い知らされます。
釣りは道具を扱う楽しみも与えてくれますが、結局は釣れないとおもしろくない。ではどうすれば釣れるかというと、究極的には狩猟を成功させる野生の感が必要みたいです。二人のアニキのうちの一人は、水辺に行くと野生感がぼわぁっと漂うんですね。雲行きや風向きが目をつむってもわかるみたい。そして、何としてでも狩ろうとする。この感性は僕にはないものでした。
にもかかわらず興味が失せないのは、僕の悪いところ。当時買った2本のフライロッドも、次にいつ振るかわからないまま捨てられずにいます。こんな僕でも誘ってくれる方がいたら、ぜひ。二度と日向におむすびを出しませんから。

これだけの空の広さは、工事中だけのものなんだろうなあ。

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