富士山のベテラン登山ガイドに話を聞きました。各方面で報道されているのでご存じの方が多いと思いますが、今年の山開きから登山のルールが大きく変わったことを受けた、タイムリーな記事をつくるためのインタビューでした。
僕は登山関連にまったく疎いので、知らないことだらけでした。お会いしたガイドは、文字通り依頼を受けて山を案内するだけでなく、富士登山の安全と保全を推進させる事業を行う団体も主宰しています。そこに属しているのが、登山適正化指導員たち。彼らは登山道を巡回しながら、個別で頂上を目指す人たちに様々なアドバイスを行うそうです。そしてまた、事故が起きれば救護者として現場に向かうといいます。
そんな仕事に臨む気持ちも、僕には推し量ることができませんでした。こんなパターンもあるんじゃないかと思うからです。
危険を指摘され続けている強行突破の弾丸登山を実行する者や、3000メートル超の山を登るにはあまりに迂闊な軽装者に対して適切な注意を促しても、耳を貸してもらえなかったり、または耳に入ったアドバイスに罵声で応じられたり。そんな人々が事故を起こした現場に嵐の中でも駆け付け、然るべき処置を施す……。
彼らが従事しているのは、そうした残念な場面に何度も遭遇する仕事です。もちろん、ガイドによって生涯忘れ難い登山を経験した人からの感謝に触れる機会だって多いでしょう。おそらく後者の幸福感が大きな支えになっていると思うけれど、何かできたんじゃないかと自分を責めかねない無念さとのバランスの取り方が、僕にはまるでわからなかった。
そのあたりをそれとなく聞いてみたんです。答えをはぐらかされたのだけど、あえて応じないその姿勢にガイドとしての覚悟を見たような気がしました。
これまた当人は絶対に口にしないでしょうが、救護に責任を持つ人は、計画を軽んじたり山をなめたりするどんな人間であっても見捨てません。だからこそ登山者は! というのが今の心情です。少なくとも今夏の山開き中は、富士山登山のニュースが気になって仕方ないと思います。

梅雨の空って、こんな感じだったね。
