代替品の銭失い

「安物買いの銭失い」という慣用句、最近はあまりに耳にしませんね。安価ゆえ品質が劣る「安物」に飛びつくと、すぐに壊れたり飽きたりして度重なる買い替えに迫られ、結果的に「銭」を「失い」続ける。そんな間抜けにならぬよう諭してくれているわけです。
じゃ、ひとまず高価なものを買っておけばいいのか? それも違うと思うんですね。価格に見合った価値、つまりは適正を見極めろという真理を説く慣用句だと僕は受け止めています。
そこまで理解していながら、いまだに「安物買い」の失敗を繰り返してしまうのです。要は、信用に足る本物を選べばいい。使用経験があるならなおさら。けれど、それが良いお値段だったりすると、今回はと類似商品に手を出してしまう。するとやっぱり満足できず、また本物の手前の品を買う。それも完全には納得できなくて、気付けば1枚でいいのに2枚になり、ついには本物の値段を越えてしまいました。運動用の7分丈スパッツの話です。
僕の中では本物でなければならない領域と、そうじゃなくてもいい領域があって、7分丈スパッツは後者でした。でも、しょっちゅう運動するから、そこは前者に入れなきゃダメだった。というかケチってはならなかった。こういう失敗は、フライパンとかでもよく起こします。ゆえに僕の場合は、「代替品の銭失い」を肝に銘じなければならないのでしょう。
そんな後悔をした数日後の晩、いつも通り寝しなに酒を飲みながらテレビを見ていたら、画面がふっと暗くなった直後に白い煙が上がりました。テレビから煙? そんなバカなと背後に回ったら、基盤やらの主要機器を収めた膨らみから白煙が立ち上っていたのです。慌てて電源を切り、煙が止んだ後にスイッチを入れてみても画面の輝きは戻らず。やがて完全な沈黙が訪れました。
2年前に買った“ばかり”のテレビです。けれど、思い当たる節がありました。家電初のネット注文で、それまでと同じ国産メーカーと思って頼んでみたら、届いたのは海外ブランドの製品。これは明らかに自分の確認ミス。それでもいいかと受け入れたのは、やっぱり安かったからなんですよね。なので、ただの黒い板と化したテレビを眺めながら、「銭失い」が確定した自分の愚かさを酒といっしょに飲み込みました。これが苦かった。
にしても、たった2年で白煙が上がるって、最近のテレビの寿命と終焉ってこういうものですか? 代替のつもりでもなかったんだけどな。

広大な河川敷にたった1本のパラソルの、果てしない安堵と救い。

 

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