今から42年前の1982年8月17日は、世界で初めてCDが製造された日。選ばれたのは、70年代に世界的大ヒットを飛ばしたABBAの『The Visitors』。このアルバムは、前年の1981年末にレコードで販売され、全英チャート1位になるほど売れたらしいんですね。それをCDで改めて製造したのは、ABBAが1982年いっぱいで活動休止することに合わせた功労賞的な意味合いがあったのかもしれません。
あるいは、従来のレコードやカセットテープに取って代わる新しい記録媒体を浸透させるには、すでに売れた耳馴染みのある作品を使いたかったのかもしれない。
さて、「世界で初めてCDが製造された日」とは別に、「世界で初めてCDが発売された日」が存在します。それは、初製造から1か月半後の1982年10月1日。作品名は、ビリー・ジョエルの『ニューヨーク52番街』。これもまた1978年に発表されたアルバムでした。CD発売に当たっていきなり新譜じゃないところが、今となっては微笑ましいです。
そしてまた、僕が初めてCDアルバムを買ったのもビリー・ジョエルでした。たぶん1986年の『Storm Front』。確か、レコードの発売はなかったんじゃないかな。それで仕方なくCDを買ってみたのだけど、肝心のCDプレーヤーを持っていなかったので、誰かに頼んでカセットテープに落としてもらったはず。それじゃ新しいテクノロジーの利点をまるで生かせないよなと我がなら情けない気分になりましたが、皆さんはどうでした?
などと時代の共感を求めていいのは、おそらく50代以上なんでしょうね。思えばこの半世紀あたりは、音楽の聴き方ひとつ取っても驚異的な変化を遂げました。今やスマホがあればほとんどすべて事足りるし、SNSによる動画配信の普及で、音楽は聴くものから観るもの(字感的には見るもの)になったというのが僕の感覚です。
そうした技術の、ないしは時代の変化や進化をリアルタイムで体験し、対応してきたのが僕ら世代でもあるわけです。いまだ音楽の配信サービスは利用せず、ミュージシャンの取材があれば事前にCDを購入するタイプなので、個人的にはかろうじてギリギリですが。
何が言いたいかというと、昔を知っているのはそんなに悪くないなあと。高校2年の夏休みのバイトでオーディオセットを買ったり、遅ればせながらCDプレーヤーを手に入れたときのよろこびは、確実な体感の記憶として今も残っていて、それは次の新たな体感を測る物差しにも利用できています。もちろん、今の若い人も相応の物差しを持っているはずなので、未来のために大事に育ててもらえたらと思います。
いやまぁ、こんな話にたどり着いたのは、誕生日までちょうど1カ月じゃんと気づいたからでした。歳を取る切なさを嘆くより、無事に生きていることに感謝して、本人未踏の年齢まで粛々と生活します。しかし1982年って、二十歳の年でした。思い出が多すぎて笑っちゃいますわ。

これを撮った時点で台風の目は、視線のまっすく先にいたらしい。
